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社会とアートをつないでアーティストをエンパワーする。エイベックスの挑戦

「アートと出会う」リアルイベント、MEET YOUR ART FESTIVALを天王洲で開催

出会うことですべてがスタートする。一緒に過ごしたら新しい日常が開けるかもしれない。ずっとそばにいたいと思うだろう。これは実はアートの話である。エイベックスが仕掛ける「MEET YOUR ART」は、アートとの新たな出会いを提供するプロジェクト。2020年の立ち上げ以降、新たなアートファンを着実に増やしてきた。アート市場の未来を見つめ、出会いの場所の設計を⽬指す彼らの思いとは。

Text by Yoshio Suzuki
Photograph by Takao Ohta
エイベックス・クリエイター・エージェンシー株式会社、代表取締役社長の加藤信介さん、役員付の古後友梨さん。おふたりはMEET YOUR ART 共同代表も務める。

音楽業界のような多様性を、アート業界へ

――「MEET YOUR ARTプロジェクト」とはどういうものなのでしょう?

加藤:2020年12月に立ち上げた事業で、アーティストの作品の背景とか、活動のコンセプトを広く伝えられるメディア(YouTubeチャンネル)からスタートしました。音楽業界でキャリアを積んできた私たちはもともとユーザーとしてアートに興味はありました。音楽とアートは連接しているものですし、過去をひもとくと音楽とアートが交じり合うことで、新しいムーヴメントが起きてきた歴史もあります。

「アートと出会う」現代アート専門番組【MEET YOUR ART】YouTubeチャンネル
▶︎https://www.youtube.com/c/meetyourart

音楽業界からアート業界を見渡してみると、音楽と比べてアートはアーティストと出会う機会やマネタイズポイントが限定的だなと感じたんです。ミュージシャンの活動の場は、全国どこにでもライブハウスがあるし、フェスもあちこちで開催される。メディアに出ようと思ったら、ウェブメディアはもちろん、テレビなどマスメディア、あるいはテキストのメディア、動画メディアなどたくさんあって、マネタイズのポイントも多様性があるんです。

たとえばインディーズのバンドが世界配信しようと思ったら、翌日にはチャチャッとできるといえばできちゃう。最終的に夢をつかめるかどうかというのは、本人の努力や才能によるところがあるかもしれませんが、それでも自分の活動を人に伝えたり、新しい人と出会ったり、マネタイズしたりのポイントがすごく多いのが音楽業界だと思っています。

一方のアート業界は、日本が世界に誇るアーティストもたくさんいるのに、新しい人との出会いや自分たちの活動を伝えるメディアが限定的だったり、マネタイズのポイントも限られているように見えました。
才能のある人たちが作家活動に専念できなかったり、稼げないからやめてしまったり、アルバイトしながら活動しなければならないのは、5年後、10年後の日本の文化・芸術にとって不幸と言ってもよくて、そこを支援することができないかと考えました。それに事業としても面白そうな気がしたんです。

そこで音楽業界で培ったノウハウをアート領域に展開して、最初は特に可能性のある若手や中堅のアーティストをエンパワーする、ブーストをかけていくというプロジェクトが、「MEET YOUR ARTプロジェクト」なんです。

将来を担う若手、中堅のアーティスト、最近はキュレーターやギャラリストもそこに含まれるととらえています。私たちの精神性のど真ん中にあるのは、そういう人たちに何かしらキャリアの礎になるようなステージを用意したり、新しく人に出会う機会を設けること。これは僕自身もそうだったのですが、アートに興味はあるけど、深く入り込めなかった人は多くいると思うんですよね。そういういわゆる潜在層の人たちにどう自然にアートに触れてもらうか、市場の開拓をどう設計するかということを考えています。

この事業を始めたときはコロナ禍だったということもあり動画メディアからスタートしましたが、2022年5月からは「MEET YOUR ART FESTIVAL」というリアルイベントを、年に1度開催しています。最初は恵比寿、2023年は天王洲、そして今年はまた天王洲でやります。リアルイベントにすることで、アートと出会う機会をさらに増やすことができると思ったんです。

プロジェクトの明確な実態がなくて、概念やヴィジョンで語っていたときには半信半疑だった人たちも、メディアでアーティストと向き合っていたり、フェスティバルを実際につくったり、形になったものが見えていくにつれて、少しずつ仲間が増えていったわけです。

2023年の「MEET YOUR ARTFESTIVAL」。4日間で4万人超が来場した。

古後:やろうとしていることがいつも挑戦的ではあると自分たちでも思っています。「MEET YOUR ART FESTIVAL」を最初にやるとなったときは、今までになかった仕組みを実現するためにどうするのか、心配する声や意見をいろいろといただきました。キュレーターの山峰潤也さんがキュレーションするアートエキシビションというエリアと、作品の購買ができるアートフェアとをひとつのイベントで混在させるというスタイルは、これまでほとんど見られなかったんです。
結果的には1回目からとても盛り上がりました。アートファンの人たちだけでなく、新しい層の人たちがアートに触れてくれて、初めてアートを買ったという人たちに出会えたことが成功を後押ししてくれたと思います。1回目のフェス以降は追い風が吹いて、周りも協力してくれた実感があります。

アーティストの価値を高める事業構造化とマネタイズ

――掘り起こしに成功していますよね。既存のギャラリーとかは限られた有力なコレクターの取り合いが仕事みたいになっているのに。先ほどの話に出てきたアートのマネタイズという点ではどうですか?

加藤:経済合理性的な効率は良くないのかもしれないけど、大きなことを起こしていきたいなと考えています。先ほどお話しした新しい顧客の獲得をはじめ、市場規模の拡大にも貢献したいです。私たちは特定のアーティストを1人マネジメントするというよりは、ギャラリーやアーティストとフラットに向き合いながら事を起こしている。キュレーションするにあたっても独特のポジションを取れていると考えています。

音楽業界では1人のアーティスト、ユニットをプロデュースすることによってそのアーティストがヒットすれば、そこから生まれるマーチャンダイジングとか、ファンクラブとか、ライブとか、いろんな収益を複合的に構造化していくところがあります。
アートのビジネスも同じように、「MEET YOUR ART」が日本を代表するアートのプロジェクトとして認められて、複合的にマネタイズしていくことができれば、事業構造がクリアになってくると思っています。アーティストの価値を大切にしながら、今までの構造になかった新しいマネタイズのポイントをつくることは事業者の役割ですから。

古後:アーティストが作品の売買でしかお金を得る機会がない、ということは、音楽業界では考えにくいです。ギャラリーは、あるアーティストがどのように既存の市場に出ていくかを戦略的に考えるパートナーですが、その視点はあくまでもアート業界の中で考えることが中心です。私たちは、一般社会とアーティストの価値の接続ということを考えていきたいです。

社会に対して、いろいろなミュージシャンをインプレッションしてきたエイベックスが持てるノウハウを使って、アーティストの社会価値を整える、プロデュースしていく。そして広告換算価値とか、違う意味のブランディングの価値とか、数値的なことも含めて提案できるようになると、新しいところからのお金も流れてくるんじゃないかなと思っています。

MEET YOUR ART FESTIVALは次世代アーティストの発射台

――いよいよ10月11日から「MEET YOUR ART FESTIVAL 2024」が始まりますが、これについて教えてください。

加藤:今回も天王洲でやります。全体のトーン&マナーとしては去年に近いまま、それぞれのコンテンツをより骨太なものにしていきます。若手、中堅アーティストにブーストをかけていくことをやりたいというのは同様です。昨年は4万人が集まってくれるフェスになったので、今年は6万人を目指しています。
第1回、2022年5月の恵比寿の「MEET YOUR ARTフェスティバル」は想定以上の熱狂を呼び、アーティストからの感謝もありました。1年半ほど続けてきたメディアの活動が、そこに結実しました。

メディアをやるときには、アート業界を俯瞰でとらえていきたいという思いがあり、多様な考え方やキャリアの積み方があることを示せたらと考えています。紹介するアーティストのバランスが偏りすぎないようにも意識しています。
一方のフェスのほうは、私たちのカラーをある程度強く打ち出して、私たちが届けたいお客さまとか、開拓したいお客さまに対して、アートとの接点をつくるということを重視しています。また、すてきなアーティストが多くいるなかで、このアーティストにとって私たちがプラスに働く可能性が特に高いとか、一緒にプロジェクトをやりたいとか、次なる展開があるとか…。メディア運営時よりもセグメントを絞って向き合っている感じがします。

今年のテーマは「NEW ERA」。このフェスが次世代のアーティストの発射台になればいいですね。イケてるフェスをつくります。アーティストはもとより、キュレーターやディレクターなどいろいろな人にアサインして、協働していきたいと考えています。第1回、第2回と2年連続でアートエキシビジョンは山峰潤也さんとやってきましたが、今年は彼には監修にまわっていただいて、メインキュレーターは吉田山さん、加えて30代のキュレーターにお任せします。チャレンジングではありますけど、私たちは次のステージを用意して、彼らのやりたいことを併走しながら実現させていこうと考えています。

2024年はアートエキシビション/2つのアートフェア、船上で⾏われるライブパフォーマンス、TOKYO ART MARKET/限定フード/ドリンクなど特別なショップが50店舗以上集結するマーケットエリア、アート×経済やカルチャーをテーマにしたトークセッション、運河沿いで開催されるナイトシアターなど、昼から夜まで一日中楽しめる。写真は2023年開催時のもの。
2024年はアートエキシビション/2つのアートフェア、船上で⾏われるライブパフォーマンス、TOKYO ART MARKET/限定フード/ドリンクなど特別なショップが50店舗以上集結するマーケットエリア、アート×経済やカルチャーをテーマにしたトークセッション、運河沿いで開催されるナイトシアターなど、昼から夜まで一日中楽しめる。写真は2023年開催時のもの。
2024年はアートエキシビション/2つのアートフェア、船上で⾏われるライブパフォーマンス、TOKYO ART MARKET/限定フード/ドリンクなど特別なショップが50店舗以上集結するマーケットエリア、アート×経済やカルチャーをテーマにしたトークセッション、運河沿いで開催されるナイトシアターなど、昼から夜まで一日中楽しめる。写真は2023年開催時のもの。
2024年はアートエキシビション/2つのアートフェア、船上で⾏われるライブパフォーマンス、TOKYO ART MARKET/限定フード/ドリンクなど特別なショップが50店舗以上集結するマーケットエリア、アート×経済やカルチャーをテーマにしたトークセッション、運河沿いで開催されるナイトシアターなど、昼から夜まで一日中楽しめる。写真は2023年開催時のもの。

そして、欧米からコンテンツを持ってくるのではなく、日本を中心にアジアのカルチャーシーンのうねりを混ぜていきたい。これから数年をかけて、アジアを代表するアートフェスに昇華させたいからです。一方で、海外を意識すると、日本のポップカルチャー、日本の伝統技術をどう誇っていくかということにもつながっていくので、それも重要です。

古後:若いキュレーターやディレクターになかなか仕事がまわってこなくて、彼らは小さいスペースでいろいろなことをやっている。次のステップを踏む機会が少ないのが現状なら、そういう人にフォーカスが当てられるようなフェスにしたいと考えています。彼らと共にムーヴメントを起こしていくフェスにしていければと思っています。

100名以上のアーティストが⼀堂に会す国内最⼤級のアートフェスティバル『MEET YOUR ART FESTIVAL 2024 「NEW ERA」』。10⽉11⽇(⾦)から14⽇(⽉・祝)まで、東京・天王洲運河⼀帯で開催。
100名以上のアーティストが⼀堂に会す国内最⼤級のアートフェスティバル『MEET YOUR ART FESTIVAL 2024 「NEW ERA」』。10⽉11⽇(⾦)から14⽇(⽉・祝)まで、東京・天王洲運河⼀帯で開催。
アートフェア「MEET YOUR ARTISTS」「CROSSOVER」では、国内外気鋭アーティスト40名200点以上の展示作品を購入することができる。
アートフェア「MEET YOUR ARTISTS」「CROSSOVER」では、国内外気鋭アーティスト40名200点以上の展示作品を購入することができる。
アートフェア「MEET YOUR ARTISTS」「CROSSOVER」では、国内外気鋭アーティスト40名200点以上の展示作品を購入することができる。
アートフェア「MEET YOUR ARTISTS」「CROSSOVER」では、国内外気鋭アーティスト40名200点以上の展示作品を購入することができる。
アートエキシビション「SSS: Super Spectrum Specification」では、来場者が作品を鑑賞するだけでなく、展覧会に参加しているという体感を得られる、ライブならではのアーティストパフォーマンスを用意。
アートエキシビション「SSS: Super Spectrum Specification」では、来場者が作品を鑑賞するだけでなく、展覧会に参加しているという体感を得られる、ライブならではのアーティストパフォーマンスを用意。
アートエキシビション「SSS: Super Spectrum Specification」では、来場者が作品を鑑賞するだけでなく、展覧会に参加しているという体感を得られる、ライブならではのアーティストパフォーマンスを用意。
アートエキシビション「SSS: Super Spectrum Specification」では、来場者が作品を鑑賞するだけでなく、展覧会に参加しているという体感を得られる、ライブならではのアーティストパフォーマンスを用意。

新規顧客とアートをつなげて市場の流動性を高める

――事業の立ち上げがコロナ禍のただ中だったとありましたが、コロナ以降のアート業界の動きはいかがでしょうか。

古後:第1回、2022年のフェスがコロナ明け直後で、多くの人がリアルイベントに久しぶりに行くという感じでした。若い経営者層なども初めてアートを買ってみようとか、とても勢いがあって、アートフェアの作品は9割くらい売り切りました。私たちのフェスを機に初めてアート作品を買った人たちが、この数年でアートに詳しくなっていたり、ちゃんと根付いている方もいるんだとわかったのは感慨深いですね。海外のアートフェアに行ったり、「東京現代」にも行くけれど、うちのフェスにも続けて来てくれる。実際3年くらいやって、彼らの変化を目にするのは面白いです。

経営者層のなかにはアートを投資対象として買ってみようという人も一定数いたと思うのですが、そこから定着してファンになっていくところを実際に見ていると、最初はどういう動機でもいいんじゃないかなと思います。もちろん、アーティストのキャリアの形成に悪影響がない範囲で取り組んで、アートの面白さみたいなものを徐々に感じてもらうことができれば。まだまだアートを買っていない、楽しんでいない富裕層もたくさんいると思います。そういう人にはパーティ感覚でうちのフェスに来てもらえるといいなと。

加藤:私たちにとっては新しいお客さまとアートを接続していくことが重要です。ビジネスとしては効率が悪いかもしれませんが、新しいユーザーを開拓していくという側面では、まだまだ可能性があるということを感じます。アートに興味があったり、自由に使えるお金を持っていても、まだアートを買ったことのない人は多くいますから。それにアートとの接点はお客さまそれぞれのタイミングがあってのことなので、コロナ前後とか、そういう外部環境には左右されにくいようです。

いろいろと考えるところはありますが、セカンダリーも含めて、市場の流動性をもう少し活発にしていかないと、市場そのものが大きくなっていかないのでは、と課題も感じています。たとえば、量産できる洋服などと違い、アートは流通する数がとても少ないです。そのうえで、今のアート市場はプライマリーで一度手に入れた作品を5年、10年と保有しておくことしかできない。アーティストの価値を毀損(きそん)するような投機的な動きとか、転売は論外ですから。でもこれからは、アーティストの価値を毀損しない仕組みで、ある作品を別の人が活発に引き継いでいくためのセカンダリー市場も重要だと思います。

僕はいつも思うのですが、必ずしも新作だけがいいとは限らないんですよね。欲しいと思う作品は何年も前に発表されたものだったりする。でも、今の市場構造だと、数年前に出た作品を手に入れることがとても難しいんです。なぜなら、一度買った作品を何年も保持しなくてはいけないという価値観が根強く残っているから。それでは機会損失になると思いますし、アーティストの価値を守りながら、二次流通がもう少し活発になるように構造を考えたり、もっとアートを人から人へ引き継いでいく機会をつくるべきじゃないかと。「MEET YOUR ART」がセカンダリー市場についても新しいスキームを考えられたら、とても価値のあることだと思います。

Information

MEET YOUR ART FESTIVAL 2024「NEW ERA」

2024年10月11日(金) - 10月14日(月・祝)
11日:16:00 - 21:00
※11日はOUTSIDE MARKET・ライブパフォーマンス/DJエリアのみの開催(アートエリア・WHAT CAFEは終日内覧会)
12日 - 14日:11:00 - 20:00
※最終日は18:00まで

東京・天王洲運河一帯 (寺田倉庫ほか)
〒140-0002 東京都品川区東品川2丁目1-11
Googlemap
(りんかい線「天王洲アイル駅」より徒歩4分/東京モノレール⽻⽥空港線「天王洲アイル駅」より徒歩5分/JR「品川駅」より徒歩15分)

アートエキシビションと2つのアートフェア、連携施設「WHAT MUSEUM」で開催中の展覧会にも入場可能な1DAY TICKET
チケット購入はこちら

▶︎MEET YOUR ART FESTIVAL official website

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