都内屈指の邸宅地「3A」のなかでも特筆のエリア“麻布”
不動産の世界で「3A」と称される日本屈指の高級邸宅地、“青山”“赤坂”、そして“麻布”。東京の中心をなす人気アドレス・港区のなかでも、特に憧れをもって知られるエリアである。いずれも独自の魅力を湛えた街だが、邸宅地としての環境を語るにふさわしいのは、なんといっても“麻布”だろう。
青山や赤坂は、閑静な邸宅地を擁する一方で、商業・ビジネスエリアの性格も帯びており、むしろそちらのほうがエリアの多くを占めている。それに対して麻布は、麻布十番・元麻布・南麻布・西麻布・東麻布・麻布永坂町・麻布狸穴町・麻布台……とエリアが広い。そして六本木や渋谷区広尾といった商業地に隣接するが、その割合は小さい。特に元麻布・南麻布・西麻布はそのほとんどが邸宅地で、麻布のなかでもさらなる格を感じさせる。高台の地形をうまく活かすかたちで街の賑わいから離れ、豊かな緑や空の抜けが心地よい街の風景が広がっている。
「有栖川」アドレスがもつ趣
麻布のなかでもR100 tokyoが注目するのは、「有栖川」と呼ばれる一角だ。住所でいえば南麻布だが、南麻布五丁目に位置する有栖川宮記念公園(以下、有栖川公園)をぐるりと囲んだ一帯は、公園の名にちなんで「有栖川」と称される。地下鉄広尾駅から歩みを進めると、ナショナル麻布がある「有栖川公園前」信号から、北側に向かって木下坂、東に向かって南部坂と、それぞれ高台へと上っていく坂道が伸びている。有栖川公園の恩恵を受けて、道には木漏れ日が落ち、風に揺れる緑の音を聞きながらゆったりと歩くのが心地よい。
有栖川公園はもともと皇族にゆかりのある場所である。江戸期には南部藩の藩邸であった土地が、明治後期に有栖川宮家の御用地となった。明治後期から大正時代にかけては、東京の邸宅地が形成された時期だ。当時、皇族の権威が現代よりも大きかった時代背景を思うと、この南麻布の広大な高台の地が、皇族が住まうにふさわしいとして宮家に譲られたのも頷ける。
大正初期に有栖川宮家が断絶すると、その後は高松宮御用地となった。やがて昭和初期には公園地として東京市に下賜されることとなる。それが整備されて有栖川宮記念公園として開園、一般に開放されたのである。皇族の御用地はほかにもあるが、宮家が絶えたあともその名が街に受け継がれている例はほかには聞かない。
公園内の起伏に富んだ地形を活かし、丘や渓流、池などもあるなかに四季の樹木が生い茂る景観は、この有栖川エリアの豊かさを象徴するようだ。100年を越える長い時間をかけて、この地の系譜によって緑豊かで趣のある邸宅街の風景が育まれてきたことを思うと感慨深い。
都内でも希有な有栖川エリアの魅力
有栖川エリアの魅力、それはなんといっても環境である。都心のなかでもまさに中心といえるロケーションにあって、季節を身近に感じることのできる美しく趣深い公園、そしてその緑を借景として暮らせる住まい。最寄りの広尾駅周辺の商業エリアも便利に利用できるが、坂道を経てエリアの区分けは明確で、住まいの周辺は落ち着いている。このような環境は、東京中を探してもほかに見つけることはむずかしい。
そしてここ有栖川のもうひとつの特色は、周辺に大使館が数多く建ち並ぶ、インターナショナルな街であることだ。フランス、ドイツ、フィンランド、スイス……現在、ざっと10を超える大使館がある。このエリアはかつて大名の藩邸が多く置かれた地であり、明治に入って諸国が大使館をつくるにあたって、武家が所有していた広大な土地を利用したのである。これに伴って大使館職員、そして政財界の名士も周辺に居を構えるようになっていった。こうして形成されていった異国文化豊かな邸宅地の趣は、今なお大切に受け継がれている。
外国語が自然に飛び交い、多様な国をルーツに持つ人が生活する街。そこには本格的な海外の味や素材を提供する良質な店舗が開店。フレンチやベーカリー、輸入食材店……こうして醸成されたインターナショナルな文化を求めて富裕層が集まり、そうなると良質な店舗がさらに増えていっそう人を惹きつけていく、という好循環が生まれていく。
同じ港区でも青山などは、同様に街が形成されるうち商業エリアとしての色合いが強くなっていった。有栖川の場合は、高台という土地の特性により、商業エリアと住宅エリアが自然と分かれていった。そのため、現在のような閑静な住環境が保たれているのである。
また、麻布中学・麻布高等学校、広尾学園をはじめ名門校が点在するのも、このエリアの特徴である。区立の笄(こうがい)小学校への入学を目指し、住まいを求めるファミリーも多い。有栖川公園には子どもの遊具も豊富で、治安もよく閑静なこのエリアが子育てにも申し分ない環境であることは言うまでもない。
有栖川のなかでも“ピン立地”に建つ邸宅マンションの数々
有栖川公園を中心にしてこのエリアを見ていくと、運動施設や大使館、学校、病院などの施設と並んで、都内でもトップクラスのグレードを誇る邸宅マンション群がある。ここでは3つのエリアに分けて、有栖川の“ピン立地”に建つ注目の邸宅マンションをご紹介していきたい。
【有栖川公園エリア】
広尾駅より老舗フレンチの「ひらまつ」を抜け、ナショナル麻布から愛育クリニックへ至る木下坂沿い。有栖川公園の西側にあたるこのエリアは、有栖川の正面と言えよう。有栖川公園を望む好立地に、有栖川ヒルズ、有栖川ホームズ、モデルノ・オパス有栖川と邸宅マンションが軒を連ねる。そして坂を上り切ったヒルトップには、オパス有栖川テラス&レジデンス、西側にザ・ハウス南麻布と、このエリアには稀な大規模マンションが建つ。広い敷地を活かし、邸宅の要素を集合住宅に取り入れたランドスケープデザインが魅力だ。いずれもR100 tokyoがおすすめするトップクラスの邸宅マンションである。
有栖川ヒルズ
木下坂の中腹で有栖川公園を望む、総戸数14戸の邸宅マンション。基壇部に高級感のある石を用い、ブラウンとグレーのシックな配色の外観は有栖川公園の緑の中で瀟洒な佇まいをみせる。
【ヒルトップエリア】
次に紹介するのは有栖川公園の東側のヒルトップエリア。有栖川公園の最も高い位置から伸びていく通りには東京ローンテニスクラブや愛育クリニックなど、皇室とも縁のある施設が並ぶ。麻布中学・麻布高等学校や麻布運動場があるのもこちら側で、開けた空気感が心地よい。ここに建つのは、有栖川公園の中にあるかのような有栖川パーク・ヒルズ、そして麻布中学・高等学校に隣接して建つ有栖川パーク・ハウスである。
有栖川パークハウス
「愛育病院前」交差点から麻布中学・麻布高等学校側に建つ全34戸の邸宅マンション。印象的なガラスのファサードに有栖川公園の緑が写映り込む。ルーフバルコニーからは、公園の緑と街の夜景の両方を愉しむことができる。
【大使館エリア】
有栖川公園の南側は、ドイツをはじめとする各国大使館や欧州連合(EU)代表部なども建つ、よりインターナショナルなエリア。公園に沿うように伸びる南部坂、このあたりの高台も雰囲気がよい。2021年に建て替えが竣工したホーマットシャロン、パーク・マンション南麻布など、重厚感と美しさを兼ね備えた物件が目を引く。
ホーマットシャロン
有栖川周辺で一番立地と言っても過言ではないロケーションに建つのは、名邸宅マンションシリーズのホーマットシリーズの一邸。1984年竣工の旧「ホーマットシャロン」の敷地に2021年、新たに外国人向け高級賃貸住宅として竣工した。
パークマンション南麻布
有栖川の南側のヒルトップに佇む白亜の邸宅マンション。南側はフランス大使館で、明治通り方面に向かって崖になっているため眺望に優れている。三井不動産の最高級ブランド「パークマンション」シリーズでも麹町、千鳥ヶ淵と並ぶ存在。
プラウド南麻布
旧フランス大使館跡地に建設された全88戸の邸宅マンション。新大使館と一体感のあるデザインを取り入れている。尾張徳川家から守り継がれた約1haの森が隣接し、住居、共用部ともに豊かな緑を楽しめる空間デザインが取り入れられている。
土地に息づく歴史、風雅な緑深き公園、土地形状によって保たれた静謐さ。長い時間のなかで育まれ、受け継がれてきた有栖川の住環境は、数ある東京の邸宅地のなかでも群を抜いている。この地の魅力にふさわしい上質な邸宅マンションも数多く、それぞれに代えがたい魅力を持っている。「東京の名作」としての邸宅マンションをお探しであれば、ぜひこのエリアを検討していただきたい。
profile
R100 tokyoプロデューサー
リビタ創業メンバーとして長年リノベーション事業に従事。これまでに“1棟まるごとリノベーション”“R100 tokyo”などのプロジェクトを牽引。特に都心高額物件を多数手がける。東京都心部を中心に、「街の文化」や「邸宅マンション」に精通。
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