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活動を通じて「本当の幸福とは何か?」を問いかける、BASE FOODの理念とは
Next for Future

活動を通じて「本当の幸福とは何か?」を問いかける、BASE FOODの理念とは

目標は、「人生100年時代」におけるサステナブルな社会の実現――“完全栄養食”というソリューションで挑む「BASE FOOD」

持続可能性の高い社会における「未来の“真に”豊かな暮らし」「人にも地球にもやさしい社会」とは、一体どのようなものなのだろうか? これからの生活に革新を起こすような、先見性に富んだ技術やサービスを開発する企業や人。彼らが創造する未来には、きっとそのヒントがあるはずだ。
「Next for Future」の第3回でフィーチャーするのは「BASE FOOD」。「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに」することをミッションに掲げて躍進する、完全栄養食のフードテックベンチャー企業だ。一日に必要な栄養素の3分の1がとれる革新的な主食の開発・販売を始めてから5年が経つ今、CEOの橋本舜さんは何を思うのか? 社会が抱える課題を解決し、幸福とは何かを問うBASE FOODへの想いを聞いた。

Text by Mari Maeda(lefthands)
Edit by Shigekazu Ohno(lefthands)
Photographs by Takao Ohta

完全栄養食で日々の健康を支える

今日、日本は世界一の長寿国だ。しかし現実は、介護なしに自立した生活を送れる期間、つまり健康寿命は、平均寿命より10年も短い。「人生100年時代」へ突入しようとする中で、長い人生をいかにして健康に暮らしていくかを、現代に生きる私たちは問われている。

健康を支えるものは何かと考えると、基本は毎日の食事。栄養バランスの良い食事が、日々の体の健康を維持する。しかしながら現代の多忙な社会において、一日3回、十分な栄養素を含む食事を取ることは難しい。

橋本舜さんがBASE FOODを立ち上げた理由もそこにある。かつてIT企業に勤めていた時代に経験した連日の残業。気がつけば仕事の合間に、あるいは終えた後に食べていたのはラーメンばかり。その際に感じた健康への不安が、今日の事業を立ち上げることを後押ししたという。食と健康に関わる社会的な課題を、自ら解決しようと考えた。

5年前にBASE FOODを立ち上げた橋本舜さん。

橋本さんが世界初の完全栄養の主食「BASE FOOD(ベースフード)」の開発・販売を始めたのは、今から5年前のこと。主食であるパスタの麺から始まり、その後パンを発売。どちらも1食分食べるだけで、26種のビタミンやミネラル、タンパク質、食物繊維など、厚生労働省が推奨する一日に必要な栄養素の3分の1をとることができる。この画期的な商品は瞬く間に支持を得て、すでに販売食数は累計1000万食を超えているという。

橋本さんは小学生の生活を例に説明してくれた。

「小学校はよくできていますよね。給食があり、体育の時間があり、労働時間も長くなく、登下校も基本徒歩です。健康を育むための基盤があります。僕は同じような基盤を大人のためにも作りたいのです。BASE FOODの“BASE”は、そうした基盤を意味しています」

給食のある小学校では、栄養士が計算した給食を月20回提供し、子どもたちの健康を守っている。であれば大人も、栄養士によるバランスのとれた食事を月20回は食べるべきではないかという。

そしてその20食を完全栄養食のBASE FOODにできたらどうだろう。美味しく、かつ手軽に栄養をとることができ、しかも定期購買にすれば習慣化しやすい。BASE FOODを基盤とする、まさに“大人のための給食”になりうるのではないだろうか。

BASE FOODのパンシリーズ「BASE BREAD」のチョコレート。ほんのりとした甘さが嬉しいマーブルチョコパンに、栄養素がぎゅっと詰まっていて、一番人気の商品。
「BASE BREAD」のメープル。2カット入りでおやつ感覚で食べられるのが嬉しい。

掲げたのは「主食のイノベーション」

それにしても、なぜBASE FOODは主食にこだわったのだろう?

「栄養ドリンクやサプリメントだけでは、便利な一方で少し味気なく感じることもありませんか? パスタやパンなどの主食であれば、これまでの食事内容と変わりありません。普段の食事内容を変えずに無理なく、しかもおいしく取り入れることができれば精神的にも身体的にも、健康が満たされるのではないでしょうか」

橋本さんはさらに続ける。

「そもそも主食は日々の食事の基盤、つまり“ベースフード”でした。かつての農民は稗(ひえ)、粟(あわ)、麦だけを365日、一日2回食べていたのです。しかしそれでは栄養が不十分で、寿命も短かった。現代においては主食のみならず、主菜、副菜、さらにもう1品が食卓に並ぶことが理想ではありますが、共働きが増えている中で1日3回の食事にそれを求めるのは難しいでしょう。そこで主食だけでも十分に栄養をとれる商品を考えたのです」

そうしてミッションとして掲げられた「主食のイノベーション」。現在はパンが5種、麺が2種販売されており、そのすべてに日々の健康を保つ必要な栄養素が含まれている。最近は消費者の要望に応えてクッキーも加わったが、主食が主軸であることに変わりない。パン屋を覗けばたくさんの種類のパンが置かれているように、これからもパンをはじめ、さまざまな商品を開発していきたいと橋本さんは語る。

しかし新たな食材を作ろうとは思わない。すでに世界には先人らによって驚くほどの食材があり、守るべき食文化があるからだ。

全てのシリーズが1食分で1日に必要な栄養素の1/3を満たし、その栄養素の種類は30種類以上。 5種の味が楽しめる「BASE BREAD」のほかに、麺の「BASE PASTA」、クッキーの「BASE Cookies」がラインナップ。
小麦全粒粉や大豆など雑穀を含む、もちもち食感がクセになるフェットチーネは糖質40%オフ。
小麦全粒粉や大豆など雑穀を含む、もちもち食感がクセになるフェットチーネは糖質40%オフ。

日本社会が抱えている課題

BASE FOODを通じて、人々の暮らしに健康習慣を根付かせたいと考える橋本さん。社会全般における健康志向についてどのように感じているのだろうか?

「健康志向は以前からありますし、意識は向上してきているとは思いますが、十分ではありません。日本には少子高齢化社会における社会保障費の問題があり、皆が生活習慣病の予防を心がけなくてはなりません。しかしそのあたりの認識の甘さが、20年前の僕の子ども時代から変わっていないのです。BASE FOODを始めたのも、そうした課題を解決したいがためでした」

日本の医療費はすでに30兆円を超えている。このまま医療費が膨らみ続ければ、日本の財政が破綻しかねないとも言われており、その深刻度、緊急度は上がり続けていると橋本さんは懸念する。そのためにも国民一人一人が、より切実に健康について考えなくてはいけないのだ、と。

一方で橋本さんは、市場における栄養素のトレンドも、健全な健康志向の弊害になっているのではないかと指摘する。

「日本では栄養素を単体で訴求しがちで、例えばビタミンCの抗酸化作用が話題になったかと思うと、しばらくしてビタミンCは鳴りを潜めて、今度は鉄分が取り上げられるというような具合に、市場にトレンドのようなものがあるのです。資本主義社会における市場原理によって、栄養素のトレンドが次々と入れ替わり、その情報に人々が振り回されてしまう。その結果として、栄養バランスを欠く傾向があるのではないでしょうか」

本来伝えるべきことは、必要な栄養素すべてをバランスよく取ることの大切さなのだ。

「BASE FOODがすることはすべてサステナブルでなくては意味がない」

そもそも栄養バランスが悪いという状態は、食の資源を無駄にしていることにも繋がるのだと橋本さんはいう。

「例えばビタミンCが十分に足りている人がレモンを必要以上に食べていたとしたら、レモンを無駄使いしているのと同じことだと思います。その一方で不足している人もいますから、レモンという資源が効率よく行き渡っていないことになります。逆を言えば、人々の栄養バランスが良い状態とは、食料資源が最適配分されていること。栄養をバランスよく届けられれば、地球が生産した資源を無駄なく有効活用できることにも繋がると考えています」

この発言は、BASE FOODの完全栄養食という概念が、サステナビリティに繋がることを示す。橋本さんは、サステナブルという考え方は非常に広い概念であると前置きしながら、BASE FOODが行っていることはすべてサステナブルなのだという。

「SDGs(持続可能な開発目標)の目標3には、『すべての人に健康と福祉を』とあり、内容を読むと非感染疾患の予防についても書かれています。個人にとっても社会にとっても、不健康な生活習慣から病にかかることは、決してサステナブルではありません。例えばある人が短絡的な幸福を追求し、ラーメンが好きだからと毎日ラーメンを食べ続けて糖尿病になったとします。するとその人はその後30年間ラーメンが食べられなくなり、国は30年間、治療費を払い続けなければならないのです」

サステナビリティとはそもそも長期的な取り組みを意味し、BASE FOODが推奨する健康的な食生活の維持は、サステナブルな行為そのものなのだ。さらに橋本さんは、CO2排出問題にも言及する。

「牛はそもそも大量の水と穀物を消費するだけでなく、そのゲップはCO2の約25倍もの温室効果があるとされるメタンを排出します。よって今日、動物性タンパク質をなるべく植物性タンパク質に置き換えていくことが求められていますよね。我々の主食には植物性タンパク質である大豆を取り入れていますから、タンパク源を不足させることなく肉の消費を減らすことができます。つまりBASE FOODは、CO2排出問題にも貢献していると考えられるのです」

橋本さんの考察は興味深い。日々、社会におけるさまざまな課題を認識しながら、BASE FOODの存在意義を追求していることが伝わってくる。

そんな橋本さんは、マーケティングには一切捉われないという。代わりに制約されない状況を作りたいのだ、と。環境に応じてサバイブすることが本当の強さだと語り、提携などにより将来の取り組みが固定化することも極力避けたいと口にする。食を通じたさまざまな社会問題の解決が目標であれば、しがらみが障壁にもなり得るからだ。

本質的な幸福のために“最大健康”を実現する

BASE FOODは2019年から昨年までアメリカのサンフランシスコにも拠点を持ち展開していた。アメリカではすでに完全食のマーケットやフードテックが広まっているために参入もしやすく、必要な栄養素についてはどの国もWHOの指針に従っているため、国や人種間にさほどの違いはないという。

世界をも視野に入れる橋本氏にとって今最も大切なこと、それは学び続けることだ。

「経済学に“最大多数の最大幸福”という概念がありますが、僕は“最大健康”をどのようにしたら実現できるのかをいつも考えています。そのためには、食と健康に関わるすべてを理解する必要があり、今後もそのための学びを続けていきます。BASE FOODだけを、あるいは日本の食文化だけを見ていては、判断が偏ります。僕は常に全体的な視野から物事を判断したいのです」

健康こそが幸福であり、人が最終的な目標とするものの一つだと語る。

人々の“最大健康”実現のために邁進する橋本さんとBASE FOOD。人間は生きていく中でさまざまな欲求を抱え、それらが満たされているときに幸福を感じると言われるが、健康は人間の最も根源的な、最大欲求なのだと断言する。

「人間にとって“本当の豊かさ”とはなんでしょう。例えば、豊かさや幸福を実現する手段として家や車があります。しかし家や車やお金が目的化して、睡眠時間を削ってまで働いてそれらを手に入れたとしても、病気になってしまったら、それは果たして幸せと言えるでしょうか?」

「今日の社会は幸福を追求するうちに、手段が肥大化してしまいました。僕はBASE FOODの活動を通じて、本当の幸福とは何か? を問いかけたい。健康を起点に意思決定し、日々の活動を決めることの大切さを顕在化させたいのです」

心も体も健やかな「最大健康」の状態にこそ、人類が目指すべき「幸せ」の形がある。橋本さんの願いは、BASE FOODを通じて、人々を本質的な幸福、本質的な豊かな暮らしへと近づけることなのだ。

その実現に向けて邁進する「BASE FOOD」、このシンプルなネーミングは、豊かに生きるための基本と本質を根底から考え抜いた、壮大なプロジェクトを表すキーワードなのだと感じた。

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