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呼吸をするように時を刻むインテリアクロック「YATAGALLAS」
Timeless Life

呼吸をするように時を刻むインテリアクロック「YATAGALLAS」

失われた技術を現代に呼び起こし、先端技術と掛け合わせて未来に引き継ぐインテリアクロック「YATAGALLAS」。思わず手を止めて見つめてしまう美しい時計の独特の魅力に迫る。

新たに生まれる技術もあれば、失われる技術もある。発明当初は先端の技術として普及したものの、時代の移り変わりとともに消えてしまったデジタル表示機器「ニキシー管」。その優しいオレンジ色の光で時を刻むインテリアクロック「YATAGALLAS(ヤタガラス)」は、ずっと眺めていても飽きることがなく、時を告げるものであるにも関わらず時間に追われる感覚を忘れさせてくれます。暮らしのなかで、ふと手を止めて心静かに過ごすような「間」を生み出す時計。そんなYATAGALLASのブランディングを手掛ける工藤禎広氏に、開発ストーリーやそこに込められた想いを伺いました。

Text by Asuka Kobata
Photographs by Takuya Furusue

ロストテクノロジーを蘇らせ、進化させ続けることで未来に引き継ぐ

デジタルで表示する歴史上最古のデバイス「ニキシー管」をご存知だろうか。電圧をかけると電極の形に応じて管の中のガスが発光し、数字や記号を浮かび上がらせる放電管の一種で、1950年代に誕生したものだ。1960〜70年代に最盛期を迎えたニキシー管は初期の電圧計や回路計、自動券売機、電卓といったデジタル表示カウンターに活用され、私たちの身のまわりでも目にすることがあった。しかし、液晶ディスプレイや発光ダイオードの台頭により、1990年には世界的に生産が終了してしまう。そんなニキシー管を現代に再び呼び起こしたインテリアクロック。それが「YATAGALLAS(ヤタガラス)」だ。

YATAGALLASのブランディングを手掛ける工藤禎広氏

「発明当時は最先端の技術として世界中に普及したものの、メインプレーヤーの座を奪われ、完全に姿を消してしまったニキシー管。それが再び蘇ったというニュースが2016年に流れました。2011年、チェコスロバキアのアントレプレナーであるダリボル・ファルニー氏がゼロから独学でニキシー管の製造にチャレンジし、2016年には大型ニキシー管を6本用いたクロックの製造に成功したのです。一つのガジェットとしてニキシー管に強い興味を持っていた弊社のエンジニアが、そのニュースに興味を示しました。そしてそれを耳にした弊社代表の中野は、すぐに開発者であるダリボル氏にチェコスロバキアまで会いにいったのです。ここから、弊社のインテリアクロックの開発がスタートしました」

YATAGALLASの開発・販売を手掛けるイエガー・ドクソン(JAEGER DOCSON株式会社)は、2017年に現代表である中野功詞氏が設立し、主にデジタルとアナログが融合したインテリアプロダクトを生み出している。中野氏はそれまで、水まわりの住宅総合機器メーカーであるTOTOに在籍して主に海外市場を担当し、温水洗浄便座「ウォシュレット」のプロモーションに尽力。長年にわたり、日本の優れたテクノロジーを世界に伝える役割を果たしてきた。独立した中野氏は、当時、サービスの普及に努めていた鳩時計「OQTA(オクタ)」のマーケティングに力を貸してほしいと工藤禎広氏に声をかけ、以降、工藤氏はイエガー・ドクソンによるプロダクトのブランディングを担っている。

「私が最初に携わったOQTAは、鳩時計といっても時刻を知らせる鳩時計ではありません。スマートフォンのアプリケーションと連動し、離れたところにいる大切な人に「あなたのことを想っているよ」という気持ちを届ける鳩時計で、私自身、そのコンセプトに強くひかれました。登録している誰かがアプリのボタンを押したときに相手の元にある鳩時計が鳴くシステムになっているのです。この鳩時計は、一つひとつ手作りされた「フイゴ式」の笛の音が鳴ります。フイゴ式の笛は蛇腹状のエアポンプによって空気を送り音を鳴らすアナログ構造で、現在フイゴ式で笛を鳴らす時計を作っているのは日本国内で1社のみしか残っていません。人の心はデジタルではなくアナログなものなので、「想いを届ける」のは「アナログな鳩の鳴き声」だとこだわりを持っています」

「OQTAのフイゴ式の笛、YATAGALLASのニキシー管というように、イエガー・ドクソンが大切にしていることの一つがロストテクノロジーを守ることです。今の時代の製品開発では「いかに安くて便利か」という効率と経済合理性が重んじられ、そこから除外された製品や技術はどんどん失われてしまう。しかし、本当にそれだけが豊かなのでしょうか? 後世に残すべき良いものはたくさんあるはずです。失われたテクノロジーを現代に呼び起こす。そういう意味で私たちは今回、ニキシー管にこだわりました」

加えて、日本のものづくりの魅力を伝え、守るということも、同社が目指すものだという。

「ニキシー管は現在、チェコのダリボル・ファルニー社にしか作れない大型で最高品質のものを使用していますが、検品・組み立ては日本で行い、台座となるキャビネットもすべて日本製です。由緒ある寺社仏閣に使われるような建材を生み出す材木屋の木材や、熟練職人によるピアノ塗装鏡面仕上げを取り入れ、日本の職人技を感じられる仕上げにしました。たとえばピアノ塗装鏡面仕上げでは、鏡以上に奥行きの感じられる台座にニキシー管の光が反射してとても綺麗に見えるんです。あくまでも主役はニキシー管であり、その主役を引き立たせるため、キャビネットは素材そのものを魅せる限りなくシンプルなデザインにしています。ニキシー管の美しさを損なわないよう計算された「引き算の美学」で、余白や間を大切にする日本の美意識を反映しています。ニキシー管の配列に関しても、数字がよく視認でき、かつ、オレンジの光が心地良く感じられるバランスを追求して決めたものです」

だからだろうか。時計としてはボリュームがあるものの、主張しすぎることなく空間のなかに馴染み、絶妙な存在感を放つ。キャビネットに用いられた木材、特殊ガラス、大理石などはインテリアの素材ともリンクさせやすく、どのような空間にもマッチするだろう。

ロストテクノロジーと日本のものづくり。これらが融合して生まれたYATAGALLASはレトロな趣を放つが、実は最先端のテクノロジーを用いた機能も搭載されている。光の明るさや時間設定はアプリケーション上で制御が可能で、アップデートされることを前提に製品がつくられている。

「YATAGALLASのコンセプトはビヨンド・エイジ、つまり時代を超えていくこと。職人の方々が長い年月をかけて積み重ねてきた技術を継承しながらも、現代のテクノロジーと融合することにより、世代を超えて受け継がれていく。そんなタイムレスなものづくりに挑戦していきたいと思っています」

モデル/YTWD
素材/WALNUT WOOD (BODY + TOP)
仕上げ /OIL STAIN FINISH( 雇い実接ぎ + オイル仕上げ )
サイズ/W650 × D200 × H187 mm
モデル/YTPB
素材/WOOD BODY BK + BK GLASS TOP
仕上げ/MIRROR FINISH(ピアノ鏡面仕上げ )
サイズ/W650 × D200 × H187mm
モデル/YTPW
素材/WOOD BODY WH + WH MARBLE TOP
仕上げ/MIRROR FINISH(ピアノ鏡面仕上げ )
サイズ/W650 × D200 × H187mm

ロウソクに灯る火のようにゆらめく光の前で、無心になるひととき

蘇ったニキシー管と出会った中野氏がインテリアクロックの開発に踏み込んだのは、ロストテクノロジーの再現に惹かれたということももちろん大きいが、何より空間に心地良く置ける時計がほしかったとのだという。

「時計は住まいのなかで皆が共有する情報源です。目立ちすぎたり、主張しすぎたりするといけないけれど、時刻という情報はきちんと伝えなければなりません。だから私たちは、生活のなかで「名脇役」になる時計をイメージしました。名脇役になるために特にこだわったのが、柔らかなオレンジ色の光です」

確かに、数字を浮かび上がらせるYATAGALLASの光は、焚き火や暖炉、ロウソクのような温かみがあり、眺めているとその優しいオレンジ色に癒される。時計ではあるものの、時刻を示す数字が不思議と数字のように感じられず、たとえばYATAGALLASが目前にあるのに、ふと「今、何時だろう」と腕時計を見てしまう。ずっと眺めていても飽きることがなく、時計なのに時間に追われる感覚を忘れさせてくれる不思議な魅力があるのだ。

「当初はデジタル回路で開発をスタートしましたが、チラツキが生じてしまい柔らかなオレンジ色が出せなかったため、アナログ回路でゼロから設計し直しました。ブランド名になっているYATAGALLASは、日本の神話に登場する三本足のカラス「八咫烏」から来ています。八咫烏は太陽の化身であることから、このインテリアクロックのオレンジ色は太陽が沈む瞬間の最も美しい光の色に近づけようと考えました。何よりも、見ていて癒される色、優しくなれる色だからです」

日本の住まいの中心には古くは焚き火や囲炉裏があり、少し前まではテレビだったが、最近では暖炉や薪ストーブ、または窓外の風景などがその役割を担いつつある。そんな流れのなか、このYATAGALLASを家族が囲む住まいの中心に置くというのも面白いのではないだろうか。

「時計であるのに、時間を忘れてぼんやりと見ていられる。それはつまり、その人の日常生活に「間」を与えてくれているのだと考えられます。無になって自分と向き合う時間になる。お茶を点てることに代表される日本の間を体現したカルチャーに重なりますね。現代ならあえてハンドミルで豆を挽いてゆっくりコーヒーを落とすような時間でしょうか。さらに、YATAGALLASには自分や家族などの歴史を刻む仕掛けもあります。時刻を表示するほかに、自分自身や子供が生まれた日から、結婚した日から、家が竣工した日からなどの日数を自由に設定して表示できるのです」

自分が生きてきた時間や大切な人と共有した時間。そんな時間が数字として目の前に現れることで、それまでの記憶や出来事が自然とフラッシュバックし、自分と向き合う時間になる。ただの情報でしかなかった数字が、自らの人生と重なり合うことで意味を持ち始めるのだ。

「この時計を眺めているうちに、涙を流し始めた方もいらっしゃいました。無になって心静かに過ごしたり、過去を懐かしんだりするひととき。日常においてそんな瞬間を持てることが、豊かな暮らしにつながると良いなと思っています」

何においても変化のスピードが早く、時間も情報も飛ぶように流れていく現代。そのなかでスピードを緩めて「間」を感じることはとても大切になってくるのではないだろうか。YATAGALLASが表現する時間のなかにはオーガニックとも言えるリズムや呼吸が存在し、眺めているとまるで時間を味わっているように感じられるのだ。

古き良きものの復刻にとどまらず、それが維持継続できるよう未来を見据えて開発されたプロダクト。さらに、時間を忘れさせ、現代の暮らしに必要な「間」を与えてくれる独特の魅力を放つ唯一無二の時計だ。住まいや家具とともに、親から子や孫・ひ孫へと世代を超えて引き継いでいくことで、その価値はますます増すことだろう。

YATAGALLAS「YTWD」

高級ウォルナットの無垢材を使用したモデル。高級家具と同様の手作業で一点づつ丁寧に作り上げたもので、リビングルームやオーディオ空間にマッチする。

素材/WALNUT WOOD (BODY+TOP)
仕上げ/OIL STAIN FINISH
サイズ/W650×D200×H187mm


商品に関するお問い合わせは、YATAGALLAS公式サイト https://www.yatagallas.com/ まで

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