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息子と過ごす、親子水入らずの時間。和モダンの空間で酒肴を楽しむ
Life Scene with a Story

息子と過ごす、親子水入らずの時間。和モダンの空間で酒肴を楽しむ

息子が帰る日——1年ぶりに会う息子と過ごす、親子水入らずの時間。和モダンの空間で酒肴を楽しむ

それぞれの家には、「住まう人」の物語が宿っている。お気に入りのソファや思い出の詰まったチェスト、家族が自然と集まる居心地の良いリビング、キッチンやダイニングで繰り広げられる、当たり前の穏やかな時間……。R100TOKYOの住まいを舞台に、住む人の「豊かな暮らし」のワンシーンを描くショートストーリー「Life Scene with a Story」。連載2回目は、とある夫婦と息子の物語。海外から1年ぶりに帰国する息子のために用意した、和の肴のレシピも紹介。

Text by Miki Numata
Photographs by Teruaki Kawakami
Recipe&Styling by Saiko Hashimoto

息子の帰国に、旨い肴と酒を用意して待つ夕べ

「あいつ、何時に帰ってくるんだっけ」
「さあ、そろそろじゃないかしらね。午後早めに空港に着くって言ってたから」

今日は、息子が1年ぶりに帰ってくる日。夫は朝からどことなくソワソワしていて、珍しく掃除や料理を手伝ってくれる。普段の休日よりちょっとおしゃれなシャツを着て、きれいに髭をそり、髪も整えて。まるでデートにいく大学生のようだ。

「海外から帰ってくるっていっても、たかが1年だからな。それほど変わっちゃいないだろうけど、それでもまあ、どんななりをして帰ってくるんだか」

就職活動が始まろうかという大学3年の夏に、息子が突然、休学したいと言いだした。夫も私も、てっきり大学院に進むのだろうと思っていたから、少しばかり驚いたけれど、それでも彼なりに考えてのことだろうと思い、反対はしなかった。

「休んでどうするんだ?」
「海外に行きたいんだ」
「留学か? あてはあるのか?」
「いや、留学というわけじゃない。ただ、違う文化に直接触れてみたくて。わがままだとはわかってるんだけど。バイトで貯めたお金があるから、費用については迷惑はかけない。卒業が遅れるのは申し訳ないけど」
「……そうか」

休学届を出し、ヨーロッパに旅立ったのが、ちょうど1年前。直接連絡をよこすことはあまりなかったけれど、SNSの投稿を見る限り、どうやらイギリスからフランス、そして北欧へと渡っていたらしい。たまに届くメールには、街で見かけた猫のスナップやコテコテに甘そうなケーキの写真が貼り付けてあったりして、それなりにその国の空気を体感している様子がうかがえた。

建築を専攻し、「人が心地よく暮らせる場所」をつくる仕事をしたいという彼らしく、「目的をつくらないことが目的」の旅。さあ、どう成長して帰ってくるのか。

「Welcome Back Home!」——リビングのソファで、まずは一献

「ただいま! 久しぶりだね」
「おう、おかえり」
「おかえりなさい。長旅ご苦労さま。さあ、入って」
「なんだお前、ちっとも変わってないな。ちょっと痩せたか?」
「1年じゃあそんなに変わんないさ」
「まあ、座れや。お母さんがいろいろ用意してくれてるぞ。和食が懐かしいだろうってね」
「わお、ありがとう」

家族が思い思いに座れる、まるで畳部屋のような大きな正方形のソファ。古い日本家屋の囲炉裏を囲むようにリラックスして過ごせるこのスペースは、家族が集う寛ぎの場所。

乾杯の肴は、トレーにのせてソファの真ん中に。きっといつものように、胡座(あぐら)でくつろいでちびちび飲むに違いない。浸し豆と梅入り玉子焼きは、我が家の定番。お弁当にもよく入れた、懐かしいおかずだ。今日は、海老のそうめん揚げと牛肉のたたき、それと、里芋のおつまみを添えた八寸に、おいしい日本酒を用意しておいた。

久しぶりの日本の夜を、楽しんでくれるだろうか。

「これはすごいね、料亭並みだ」
「お母さん、昨日から張り切ってたんだよ。さあ、ゆっくり話を聞こうか。と、言いたいところだけど、まずは乾杯だな。おかえり」
「ありがとう」
「一杯いただいたら、私はお母さんを手伝ってこようかな。今日は湯豆腐だって。疲れた体に染みるぞ」
「ありがたい。シンプルな和食がいちばんだ。お母さん、これ、あっちの縁側に持っていっていいかな」
「もちろんよ。久しぶりの東京の景色を肴に、ゆっくりどうぞ」

お気に入りの場所で、旅に思いを馳せる

ベランダ前の「縁側」と呼んでいるスペースは、あの子のお気に入りの場所。ご機嫌なときも疲れたときも、ひとりでじっくり考え事をするときも、いつもこの「縁側」に座って外を見ながら時間を過ごしていた。

「ロンドンもパリもコペンハーゲンも、日本にいるときに想像していたのとはだいぶ違ってたよ。いや、もちろん、想像どおりのこともたくさんあったけどね。人が実際に住んでいる様子は、やっぱり行ってみないとわからないもんだね。街って生きてるんだな、って思ったよ」
「ほう。それはいい経験だったな。“外”を見て帰ってくると、東京もちょっと違って見えるんじゃないか?」
「そう、そのとおりなんだ。今まで周りを歩いている人のことなんてじっくり見たことなかったし、景色も味わったことがなかった。見慣れた風景のはずなんだけど、それが新鮮なんだよね。不思議」

わずか1年。ついこのあいだまでは、家と学校とバイトと友達、という狭い世界で生きていた子が、1年で少しは成長したようだ。かわいい子には、何とやら……。

「写真、いくつかプリントしてきたからさ、お母さんもあとで見てみて」
「そうね、ありがとう。あら、そういえばお土産はないのかしらね?」

湯豆腐をつつき、熱燗を酌み交わす。父と息子、語らいのひととき

「ほら、湯豆腐ができた。アツアツだぞ」
「お、今度は熱燗か、いいね。でも酔っ払っちゃうなあ」
「おいおい、ついこのあいだまで未成年だったんだからな、飲みすぎるなよ」
「ヨーロッパで多少は鍛えられてきたよ。エールにワイン、蒸留酒も飲んだ。北欧はビールがおいしくてさ」 

和食器が馴染む漆黒の大きなダイニングテーブルは、この部屋に合わせて夫がオーダーした。波打つ水面のようなセンターのデザインは彼のお気に入りで、まるで凪(なぎ)の海を眺めているようで不思議と落ち着く。3人で使うには少し大きいけれど、コーナーを挟んで座ると、正面から向き合うよりもよりリラックスできる気がして会話がはずむ。

湯豆腐には、菊の花と小ねぎを散らし、柚子を搾ってさっぱりといただく。
湯豆腐には、菊の花と小ねぎを散らし、柚子を搾ってさっぱりといただく。
湯豆腐には、菊の花と小ねぎを散らし、柚子を搾ってさっぱりといただく。

夫と息子がお酌をし合う光景に、なんとも言えないむずむずした気分になる。嬉しい気持ちもあるけれど、男同士の会話には、正直ちょっと妬ける。

「お母さんも座って一緒に食べようよ」
「そうね、私も一杯いただこうかな」

シメのおにぎりは、父のこだわりのカウンターで

「そういえば、おなか具合はどう? シメにおにぎりを、と思ったんだけど、おなかいっぱいかしら」
「それは嬉しい! もちろんいただきます」
「具は梅干しね。おばあちゃんの5年もの」
「最高!」

カウンターは、このマンションを買ってリノベーションするときに、夫が「どうしても」とこだわった場所。3人で住む家にカウンターなんて大袈裟だと言う私に、「絶対につくる。息子が大きくなったときに2人でカウンターに座って酒を飲むのが夢なんだ」と、頑として譲らなかった。

「うまい。おにぎりって本当においしい。あ〜、日本人に生まれてよかったなあ、俺」
「どうだ、もう一杯飲むか?」
「いや、今日はやめておくよ。おにぎりとお茶をいただいたら休もうかな。さすがに疲れた」
「そうか」

息子にあっけなくフラれてちょっと寂しそうな夫。まるで子どもみたいだ。

商社に勤め、子どもが生まれてからは単身赴任が多かった夫は、一人息子の成長を間近で見ることができなかったことを少しばかり負い目に感じていたらしい。重役といわれるポストに就き、本社勤務に落ち着いてこの家を買ってからは、息子との時間をとても大切にしていた。表には出さないけれど、この1年のブランクは、彼にとってちょっとしたダメージだったに違いない。

「明日からはいつでも飲めるじゃない」
「まあ、そうだけどな」

家は住む人に寄り添って、一緒に時を刻む

家とは、住む場所、そして「帰る」場所。
「初めまして」と暮らし始めたときから、住む人と家の物語が始まる。子どもが成長するように、家もまた歳を重ね、家族の生活に寄り添って一緒に時を刻んでいくのだ。

「やっぱり家はいいね。ほっとする」
「そう? 最初はモノトーンが落ち着かないとか言ってたじゃない」
「ははは、そんなこと言ってたっけ? ちょっと素直じゃなかっただけだよ。反抗期ってやつ? 俺、この家好きだよ。リビングのソファも、ベランダ前の縁側も、カウンターも、そして大きな窓から見える景色もね」

服が体に馴染むように、家の中の匂いや空気がすっと体にフィットする瞬間がある。そんなときにきっと、その家が本当の意味での「我が家」になるのだろう。

「お母さん、今日はありがとう。本当においしかったし、嬉しかった」
「どういたしまして。さあ、ゆっくり休んでね」

夫と息子と、私。3人の物語がまた、この家で新たに始まる。

Today's Recipe 1「牛肉のたたき 長芋巻き」

[材料](作りやすい分量)
牛もも肉 100g
長芋(棒状に切る) 10センチ程度
塩、黒こしょう、しょうゆ、マスタード、オリーブオイル 各適量

[作り方]
1.牛肉は冷蔵庫から出して室温に戻し、塩をふる。フライパンにオリーブオイルを熱し、中火で牛肉を全面焼き付けたら、取り出して黒こしょうをふり、しょうゆ少々を塗る。アルミホイルに包んで30分おく。
2.1を薄切りにし、棒状に切った長芋を巻く。マスタードを上にのせる。

Today's Recipe 2「海老のそうめん揚げ」

[材料](作りやすい分量)
むき海老 150g程度
そうめん(1cm程度に折る) 1/2束
A
 卵白 1個分
 片栗粉 大さじ2
 塩 小さじ1/3
 揚げ油(植物油) 適量

[作り方]
1.むき海老は、背わたを取って片栗粉(分量外)を揉み込み、流水で洗ってキッチンペーパーで水気を拭き取る。包丁でたたき、Aを加えてよく混ぜる。
2.そうめんを1の表面に貼り付け、160℃に熱した油でこんがり揚げる。

Today's Recipe 3「里芋カリカリチーズ」

[材料](作りやすい分量)
里芋 大3個
ピザ用チーズ 大さじ6(丸めた里芋1個に対し大さじ1を目安に)
黒ごま、塩 各適量

[作り方]
1.里芋は皮ごと茹でて熱いうちに皮をむき、塩少々をふって、すりこ木やフォークなどでつぶしてひと口サイズに丸める。
2.ピザ用チーズを大さじ1杯ずつ、クッキングペーパーの上に平らに広げる。600Wの電子レンジで1分半程度、ふちが色づくまで加熱する。
3.2が熱いうちに、中央に1をのせて黒ごまをふり、手早く半分に折る。

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