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「ホンダ NSX」で進化する渋谷、変わらない渋谷を駆け抜ける
Car×Landscape

「ホンダ NSX」で進化する渋谷、変わらない渋谷を駆け抜ける

デビュー30周年を迎えた「ホンダ NSX」で早朝の渋谷をドライブ。変わりゆく風景と変わらぬ街並みに思うこと

「街に似合うクルマ」「風景の一部となるクルマ」を、自動車ジャーナリスト・河西啓介が紹介する「Car×Landscape」。5回目は、現代によみがえった和製スーパーカー「ホンダ NSX」で、いつの時代も最新トレンドを発信し続けている渋谷へ。スクラップ&ビルドを繰り返し、変化し続ける街並みを眺めながら、情報時代を担う企業が集結する都市の勢いを肌で感じつつ、クルマを走らせた。

Text by Keisuke Kawanishi
Photographs by Daijiro Kori

ホンダの黄金時代を象徴する、和製スーパーカー

初代ホンダ NSXが発表されたのは1989年(発売は翌年9月)。この年は日産 スカイラインGT-R、マツダ ユーノスロードスター、トヨタ セルシオというエポックなクルマがデビューするという、まさに“日本車のビンテージイヤー”と言うべき年だった。

それは必然でもあった。当時、世の中は“バブル景気”に沸いていた。およそ1986年から91年まで続いたと言われるバブル期は、NSXなどこれら名車の開発〜発売時期と符合している。1970年代から80年代にかけて力を蓄えた日本の自動車メーカーが未曾有の好景気の波に乗り、世界を驚かせるような新型車開発を進め、それが花開いたのがこの年だった。

なかでもホンダは1983年からF1グランプリ復帰を果たし、80年代半ばからは圧倒的な強さでタイトルを獲得し続ける黄金時代を築いていた。そんななかで「世界に通用するスポーツカーを」との思いから開発されたのがNSXだったのだ。

その車名は“新しいスポーツカー”と“未知数”を表す「X」を組み合わせた「New Sports car X」の頭文字をとったものと言われる。

永遠に変わり続ける街、渋谷

だが20世紀的テクノロジーの集大成と言える工業製品、自動車がその絶頂を極めたと思えた次の瞬間、世界は次のパラダイムへとシフトしはじめた。言わずもがな「インターネット」の時代がやってきたのだ。世界を通信網で結び、瞬時の情報伝達を可能にしたインターネットは90年代の訪れとともに世の中に広まり、あらゆる価値観を塗り替えた。それは図らずも20世紀と21世紀を明確なコントラストで切り分けて見せる、新たな時代の幕開けだった。

日本において、その新たな時代の到来とともに注目を浴びた街が「渋谷」だった。90年代半ば以降、インターネットの隆盛により生まれた多くのIT系ベンチャー企業がここに集まり、その若き経営者たちによる「ビットバレー構想」の拠点となった。ちなみにビットバレーとは、アメリカでIT企業が集まるシリコンバレーに倣ったもので、情報量の単位である「bit」、そして「渋い/bitter」と「谷/valley」をかけ合わせて名付けられた。

もとより渋谷には「若者の街」というイメージがあった。その始まりをたどれば、70年代半ばの渋谷「パルコ」オープンの頃になるだろうか。それまでの新宿に取って代わり、“公園通り”“センター街”“文化村”……といったエリアに若者は憧れ、集まった。

以来、渋谷は2020年の今も若者の街であり続けている。ここからさまざまな流行が発信され、そして街自体も刻々と変化し続けている。常に街のどこかで何かが壊され、消えていき、代わりに新しいものが建ち、生まれる。“永遠に工事中”の街、それが渋谷なのだ。

早朝だからこそ味わえる、変わりゆく渋谷と変わらぬ渋谷の姿

20世紀を代表する名車、ホンダNSXは10年のブランクを経て2016年、復活した。名前と“世界に通用するスポーツカー”という意志は受け継いでいたが、その内容は初代とは大きく異なっていた。“走りと燃費性能の両立”を狙った高効率のハイブリッドシステムを搭載するハイテクカーとなり、スタイリングも“21世紀のスポーツカー”を感じさせるものに一新された。

その新しいNSXを東京の“街”にたとえて表現するなら、思いつくのは渋谷しかなかった。渋谷も近年、21世紀の街としての再構築が進んでいる。駅前には渋谷ヒカリエ、渋谷スクランブルスクエア、渋谷ストリームなど新たなインテリジェントビルが立ち並び、そこにIT企業がオフィスを構えることにより、影を潜めていたビットバレー構想も再興しはじめた。

早朝の公園通りを鮮やかなオレンジのNSXで走る。リニューアルオープンしたパルコ、ロフトを右に見ながら駆け下り、今は「渋谷モディ」と名乗るマルイのビルが立つ交差点を右ターン。このルートを通るとき、いつも少しだけ気分が高揚する。公園通りは流行の先端を行く街を貫くランウェイだ。街ゆく人たちの視線を意識しながら、ストレートエンドでスムーズにシフトダウン、カーブの立ち上がりは素早くアクセルを踏み込み、3.5リッターV6ツインターボの快音を響かせる。

西武の角を曲がり、“変わらぬ渋谷”の象徴であるセンター街へと乗り入れる。一方通行が入り組んだ迷路のような繁華街。たとえスーパーカーであってもウォーキングスピードを余儀なくされるこのエリアにおいて、NSXは見事にその気配を消す。フロントに2つ、リアに1つ、計3つのモーターを配する21世紀型ハイブリッド・スポーツカーは、電気モーターでのみ走ることを可能にする「クワイエット・モード」を備えている。

そのパワーやハンドリングにおいて、世界の名だたるスーパースポーツカーと比肩しうる高い性能を持ちながら、いっぽう街並みに溶け込むサイレント・ドライブを可能にする。そこにNSXの新しさ、そして“日本車らしい”スポーツカーの姿が垣間見えるような気がした。

オープン間もないRAYARD MIYASHITA PARKの前にNSXを止めると、そばを通り過ぎる2人組の若者の「カッケェ」というつぶやきが聞こえた。30年前、初代NSXが登場したときに僕らが思ったのと同じ「カッケェ」を、彼らもまた感じているということが、なんだか嬉しく、そして誇らしかった。

specification

ホンダ NSX
2020年式
全長×全幅×全高:4490×1940×1215mm
車両重量:1800kg
パワートレイン:3492cc水冷V型6気筒DOHCツインターボ+3モーター
システム最高出力:427kW(581ps)
システム最大トルク:646N・m(65.9kgf・m)

profile

河西啓介

1967年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務を経て自動車雑誌『NAVI』編集記者。2001年オートバイ雑誌『MOTO NAVI』創刊。2003年より自転車雑誌『BICYCLE NAVI』編集長兼務。2010年独立し、出版社ボイス・パブリケーション設立。2012年自動車雑誌『NAVI CARS』創刊。2019年よりフリーランスとなり、自動車ジャーナリスト、エディター、パーソナリティー、コメンテーターなど幅広く活動中。

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