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「ルノー アルピーヌV6ターボ」で幻想的な夜景を探しに工場地帯へ
Car×Landscape

「ルノー アルピーヌV6ターボ」で幻想的な夜景を探しに工場地帯へ

80年代的“近未来感”がクールな「ルノー アルピーヌV6ターボ ル・マン」で、夕暮れの首都高から幻想的な夜景を求めて工場地帯へ

「街に似合うクルマ」「風景の一部となるクルマ」を、自動車ジャーナリスト・河西啓介が紹介する「Car×Landscape」。4回目は、1984年の登場当時 に“フレンチ・ロケット”の異名をとったスポーツカー「ルノー アルピーヌV6ターボ」の特別仕様、「ル・マン」。幻想的な夜景を求めて首都高を駆け抜け、臨海部の工場地帯へ。

Text by Keisuke Kawanishi
Photographs by Daijiro Kori

幻想的な夜景を求めて、夕暮れの首都高を駆ける

東京都内で最も刺激的なドライブコースは「首都高速」だ。都市の中空に吊られ、ビルの谷間を縫うように延びる、上下左右に曲がりくねった道。不規則に現れるジャンクションと出入り口。目まぐるしく変わる車線や速度の規制。そのレイアウトはほぼ“無秩序”と言うべきで、そこに何らかの規則性を見出そうとするのは難しい。もし首都高をスムーズに走りたければ、分岐、出入り口、道路規制を丸暗記するしかない。

だがそんな都市の迷宮のような首都高も、ルートをひととおり把握してしまえば、エンタテインメントなワインディングロードに変わる。それを楽しむなら、やはり夜がいいだろう。道路の両脇に迫るビル群は闇に溶け込み、窓から漏れる明かりや看板が美しく浮かび上がる。

走るだけでも十分楽しめるが、できれば目的地でも素晴らしい夜景を眺めたい。東京にはさまざまな夜景スポットが存在するが、今回は湾岸線を経て川崎のほうへ向かうことにした。

“過去から見た未来”の風景に似合う「ルノー アルピーヌV6ターボ」

首都高速は、1970年代のロシア(旧ソ連)映画『惑星ソラリス』で未来都市の街並みとしてロケ地に使われたこともある。そんな「過去から見た未来」の風景にはどんなクルマが似合うだろう? 思い浮かんだのは、フランス車のルノー アルピーヌV6ターボ。名車アルピーヌA110の血統を受け継いで生まれた、リアエンジン・リアドライブのスポーツカーだ。ターボエンジンの強力な加速と相まって、登場した80年代当時は“フレンチ・ロケット”の異名をとっていた。

そのフューチャリスティックでクールなデザインは、山の峠道でもサーキットでもなく、やはり「街」が似合う。今回のテーマにぴったりなクルマだ。早速、“アルピーヌ・ブルー”と呼ばれる、鮮やかなメタリックブルーをまとうクーペに乗り込み、首都高へ向かった。

夜の湾岸高速を“滑走”し、目的地の工場地帯へ

アルピーヌV6ターボが登場したのは1984年。ポルシェ911に対抗すべく登場したRRのスポーツカーで、1986年に日本導入された。今回ドライブするのは世界で300台、日本では50台のみが販売された「ル・マン」という特別仕様だ。ボディの後部が大きく左右に張り出したブリスターフェンダーが特徴で、2.5リッターV6ターボ・エンジンも210psへとチューンナップされている。

スポーツカーというより“グランツーリスモ”と言うべき、居住性に優れた室内は、いま見れば少々チープと思えなくもない、プラスティッキーな素材とデザインで構成されている。これはフランス流の合理性ゆえか、フランス車はスポーツカーであっても、そのメーターや内装などには大衆車のモノを流用することが多いためだろう。そしてもうひとつ “らしい”と思わせるのは、体全体を包み込むような、たっぷりとしたサイズのシートだ。なによりも居心地のよさ、とりわけシートのかけ心地を重んじるのは、ルノー、そしてフランス車の伝統なのだ。

スーっと車体が浮遊するような独特の加速感を堪能しながら、レインボーブリッジを渡り、湾岸線へ。湾岸高速の長い直線でアクセルを深く踏み込んだ。プシュー! というターボチャージャーの作動音とともに、アルピーヌV6ターボはジェット機が飛び立つかのような強烈な加速Gでドライバーの体をシートに押し付ける。目の前に並ぶ計器類が、オレンジ色のライトで浮かび上がるのを見ながら、二次曲線的に立ち上がるスピードに身を委ねていると、テイク・オフするパイロットのような気分になる。

スチームパンクな夜景と80’sフレンチ・ロケットという、組み合わせの“妙”

羽田空港を越え、大師のジャンクションで大きくターンし、湾岸線から逸れる。向かうのは「K6」と表示される方向だ。正式には「首都高速神奈川6号川崎線」というこのルートは、2002年に開通した首都高速のなかでは新しい路線。ここを走りながら眺める夜景は、華やかな都心とは異なる、もうひとつの「街」の姿を映し出す。その「街」こそが、今回の目的地だ。

道の両側に現れる工場群。ここ川崎臨海部は古くからの埋め立てと工場誘致によって、昭和初期には工場群が形成されたエリアだ。空襲で被害を受けたものの朝鮮特需を契機に復興、工業都市として日本の発展を担ってきた「街」である。昼夜やむことなく稼働する工場群の夜景は、想像以上に幻想的だ。

複雑に絡み合う金属で組み上げられた、無機質な造形物が、闇の中で明かりに照らされ浮かび上がる。煙突からもくもくと吐き出されるスモーク。フラッシュライトのように辺りを赤く染める炎。1970年代、80年代から変わらないであろう工場地帯の、スチームパンクな景色の中で80’sフレンチ・ロケットを走らせるのは、ちょっとしたタイムトラベルのように思える。

すべての内燃機関が電化に向かっていると言われる世の中にあって、この工場群もアルピーヌV6ターボのようなスポーツカーも、やがて20世紀の風景として記憶されていくのだろうか。燃えさかる炎も、エンジンの爆発も遠ざけられてしまう、そんなクールな世界がやってくる前に、今はもう少しこの“熱”を楽しんでおきたい。そんなことを思いながら、再び都心へ向けてアルピーヌV6ターボのハンドルを切った。

specification

ルノー アルピーヌV6ターボ ル・マン
1991年式
全長✕全幅✕全高:4310✕1812✕1194mm
車両重量:1190kg
エンジン:2458cc水冷V型6気筒SOHC12バルブ+インタークーラ付きターボ
最高出力:210ps/5750rpm
最大トルク:30.2kgm/2200rpm

profile

河西啓介

1967年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務を経て自動車雑誌『NAVI』編集記者。2001年オートバイ雑誌『MOTO NAVI』創刊。2003年より自転車雑誌『BICYCLE NAVI』編集長兼務。2010年独立し、出版社ボイス・パブリケーション設立。2012年自動車雑誌『NAVI CARS』創刊。2019年よりフリーランスとなり、自動車ジャーナリスト、エディター、パーソナリティー、コメンテーターなど幅広く活動中。

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