江戸・明治から続く屋敷街としての歴史が残るエリア
港区赤坂・六本木エリアの商業施設やオフィスビルに足を運び、高層階から街を見渡してみると、その豊かな表情には毎回目を奪われる。東京ミッドタウン、六本木ヒルズ、麻布台ヒルズといったランドマークが輝く、いかにも“東京”らしい都市の風景が広がる一方で、眼下に目を向けると意外なほどに深い緑が残され、街の大きな一角を占めているのが見てとれる。
この対照的な2つの表情が、今回紹介する赤坂・六本木エリアの邸宅地の魅力を象徴していると言えるだろう。街の歴史をひもときながら、東京を代表する邸宅地が長い時を経てどのようにつくられていったのか、その系譜を追ってみることにする。
今はビジネスや商業の集積地として華やかな顔もよく知られる赤坂エリアだが、もともとは江戸城に隣接し、有力大名や武士が数多く屋敷を構えた地である。赤坂御用地は徳川御三家の紀州徳川家の広大な所有地であった。明治期に入り赤坂御所ができると、勝 海舟や乃木希典(まれすけ)、高橋是清など、政府高官や軍人、財界人が居を構えるようになり、邸宅地として発展していった。街を歩けば、赤坂氷川町の勝海舟邸跡、乃木希典を祀った乃木神社、赤坂七丁目の高橋是清翁記念公園など、歴史に名を残した人々の史跡をたどることができる。


東京の中でも希少な、深い緑に包まれる邸宅地
また、東京の中心地とは思えないほどに緑深い風景が街のあちこちに広がっているのも、江戸期の屋敷街の記憶が、今なお静かに息づいているからだ。赤坂氷川神社は、徳川八代将軍・吉宗により建立。赤坂・六本木エリアの鎮守として、緑に覆われた静謐な空気をたたえている。
東京ミッドタウンに隣接する檜町公園は、長州藩・毛利家の麻布下屋敷の庭園跡だ。その広大な庭は、江戸の町並みを一望できる名園として名をはせたという。公園としての歴史は古いが、東京ミッドタウンの開発に伴いリニューアルされた。日本庭園の趣を残した回遊式庭園とアーティスティックな遊具とがスタイリッシュに調和している。

屋敷街の系譜を受け継ぐ赤坂・六本木の邸宅地3エリア
今回は赤坂・六本木エリアでもR100 tokyo が注目する3つのエリア、そして邸宅マンションを紹介していきたい。

【赤坂新坂エリア(赤坂8丁目)】
赤坂新坂エリアは地下鉄青山一丁目駅から乃木坂駅方面へ広がる邸宅地だ。壮麗な設計が目を引く駐日カナダ大使館のあたりから、青山通りを折れ六本木方面に歩いて行くと、低層の邸宅マンションが立ち並ぶ閑静な邸宅地が現れる。
ヴェーゼント赤坂新坂

青山通りから1ブロック奥に入った、赤坂新坂エリアの入り口に立つ全31邸の低層マンション。外観は基底部に御影石が施され、随所にアール形状を取り入れた洋館のようなデザイン。エントランスにはホテルのような車寄せがある。都心部では希少な全邸南向き、24時間有人管理・フロントサービスもある。
グランフォルム赤坂

1999年築、シックなブラウンタイルと基底部の御影石が重厚なたたずまいを演出する、全23邸のレジデンス。中廊下と屋内階段を中心に、各邸を四隅に配置したフロアプランで全邸角住戸を実現している。専有面積85.48~171.5㎡とゆとりあふれる住戸設計も魅力。
パークハウス赤坂新坂

赤坂新坂エリア中ほどの閑静な一角にある2棟構成、全45邸の邸宅マンション。温かみのあるブラウンタイル張りの外観。ホテルライクなキャノピーが特徴的なエントランスからは、ガラスオブジェのある美しい共用スペースが見通せる。地下駐車場(一部)や3基エレベーターなど、機能面も充実。
パルティール赤坂

赤坂新坂の傾斜地に立つ、都心では比較的大規模な全94邸のレジデンス。南傾斜を利用して南向き住戸を中心にプランニングし、雁行設計で採光を高めている。重厚感のあるエントランス棟とシンボルツリーにより居住空間は外からはうかがえないが、広い敷地には流水と池を巡る散策路や東屋のある庭園があり、都心の喧噪を忘れさせる風情がある。
【赤坂氷川町エリア(赤坂6丁目)】
東京ミッドタウンの東側、赤坂氷川神社とアメリカ大使館宿舎に挟まれた通りには、豊かな緑が道に心地よい影を落としている。江戸・明治から続く赤坂の邸宅地の雰囲気が色濃く残されているが、東京ミッドタウンにほど近いながらも往来が少ないため“知る人ぞ知る”といった邸宅街である。
プラウド赤坂氷川町

檜町公園の北東側を通る檜坂の中腹にたたずむ、全15邸の低層マンション。建物基底部にはグレーの石張りを施し、エントランスは奥まった位置に配してプライバシー性を保っている。光を取り込むため窓が大きく取られ、外観のシャープなラインを印象づける。専有面積は105.66~206.71㎡と邸宅マンションにふさわしいゆとり。共有部分にはパーティルーム、ラウンジ、全戸用のトランクルームがある。
赤坂氷川町パークマンション

赤坂氷川神社や日本銀行氷川分館に近接し、緑に囲まれた趣のある全17邸の邸宅マンション。大きなキャノピーのあるヨーロッパの邸宅のようなエントランスが印象的。傾斜地を生かし、地下駐車場に道路からフラットで入庫可能。専有面積は136.3~192.2㎡と全邸が大きなゆとりを約束された設計。
東急ドエルプレステージ赤坂氷川町

全34邸の邸宅マンション。車寄せを設けたエントランスアプローチには石造りの門柱、敷地境界にも石垣と植栽の垣根を設け、重厚感のある外観を演出している。専有面積は98~176㎡台。エレベーター3基設置のほか、戸数を超える42台分の駐車場、全戸分のトランクルームなど設備も充実。
HIKAWA GARDENS AKASAKA

赤坂氷川神社、日本銀行氷川分館、アメリカ大使館宿舎と3つの深い森に隣接した全17邸の低層レジデンス。敷地周りにも豊かな植栽を配し、周辺の緑に溶け込むような外観が特徴。フィットネス施設など共用施設も充実している。2018年に共用部分はアーキサイトメビウス社、専有部分はコンランアンドパートナーズの設計により一棟リノベーションが完了した。
パークマンション赤坂氷川坂

赤坂氷川神社に隣接、屋敷街エリアに位置する13階建て、全36邸の邸宅マンション。緩やかな曲面とシンメトリーなフォルムが特徴のファサード。大きなキャノピーと車寄せがあるエントランスはホテルライクな品格を演出する。積層ゴム型免震装置を用いた免震構造を採用。日中はコンシェルジュが常駐。夜間はセキュリティスタッフが勤務し、セキュリティも充実している。
【六本木三河台エリア(六本木4丁目)】
街の性格としては2つの赤坂エリアに近いが、アドレスは六本木4丁目。東京ミッドタウンや檜町公園に近接しており、都市の利便性と広大な公園の緑、静かな住環境を享受できる希少なエリアだ。
プラウド六本木

地下鉄六本木駅から徒歩約4分、全35邸の低層レジデンス。床近くまである縦型ガラスを採用しており、グレーの石張りの壁面と共にシャープなラインが印象的な外観を織りなしている。専有面積は100.12~222.97㎡のゆとり設計、ライブラリースペースや各階に設置された24時間ゴミ置き場、コンシェルジュサービスなど便利なサービスも充実している。
パークマンション六本木

檜町公園に面する全24邸の邸宅マンション。ガラスのような透明の外壁「カーテンウォール」や、垂直方向をデザインする「マリオン柱」を活用し、檜町公園に彩られるにふさわしいシンプルかつ上品な外観が特徴。専有面積は101.24~213.05㎡と大きく確保。駐車場は屋内型(機械式)設置率100%となっている。
現在の赤坂・六本木エリアはオフィスビルが林立し、放送局や劇場、美術館も存在する、東京でも有数のビジネス・カルチャーの集積地だ。戦後以降は政財界人が集まる料亭、花街文化から繁華街が広がり、ビジネスエリアとしての発展も進んだ。そして再開発によってさらにスタイリッシュなコンセプトショップや飲食店、アート施設も増え、現代的な街として変貌を続けている。
その一方で、にぎやかな目抜き通りから道を逸れ、数ブロック歩いただけで人も車も往来はぐっと減り、風にそよぐ緑が心地よい静謐な邸宅地が広がっている。都心とは思えぬ静けさと緑に包まれたこの環境は、時を超えて守られてきた邸宅地の証しと言える。この地に建てられた邸宅マンションも、その価値を継ぎ、未来へと受け継いでいくに違いない。