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世田谷区瀬田を象徴する白亜の邸宅マンション「瀬田ファースト」
普遍的価値を持つヴィンテージマンション

世田谷区瀬田を象徴する白亜の邸宅マンション「瀬田ファースト」

緑豊かな国分寺崖線の高台に立つ傑作

色褪せない価値をもち“名作”と称されるヴィンテージマンションについて、R100 tokyo 独自の目線で土地や建築に込められたストーリーや魅力を紹介する連載。第3回は、緑豊かな瀬田の台地で存在感を放つ「白想居」こと「瀬田ファースト」を紹介する。

財界人が愛した別荘地・瀬田一丁目の高台立地

東急二子玉川駅の北東、木々の緑が豊かに重なる傾斜地に、ひときわ目立つ白亜の館がある。外壁、バルコニー、外階段に至るまですべてが白で統一されたこの建築物は、1990年代の邸宅マンションを代表する「瀬田ファースト」だ。美術館と勘違いする声も聞くほど、精巧なデザインでつくられた端正な佇まいは、アーティスティックな雰囲気を漂わせ、多くの人の目を引きつける。

「瀬田ファースト」が立つのは、二子玉川駅のホームからも見ることができる、緑に覆われた高台。これは「国分寺崖線」といって、多摩川が10万年以上の歳月をかけて武蔵野台地を削り取ってできた段丘である。「みどりの生命線」とも呼ばれるこの高台は、明治から大正期にかけ、財界人の別荘地として発展してきた。都心からほど近い利便性がありながら、豊かな緑や湧水などが織りなす景色を身近に感じ、さらに目を向ければ多摩川、そして富士山の眺望も楽しめる。瀬田エリアは、この良好な住環境を今に受け継ぐ歴史ある邸宅地としてよく知られている。

南斜面を生かした眺望をもつ、リゾートホテルのような建築

「瀬田ファースト」は1992年竣工。国分寺崖線の斜面地を生かして段状に建てられたその美しいフォルムは、豊かな自然の緑に溶け込みつつも、街から羨望の視線を集める。約1000坪の敷地にわずか15世帯というプレミアム感も相まって、バブル期に建てられた邸宅マンションのなかでも最上級物件として当時から知られていた。

設計は建築家・大江 匡(ただす)氏によるもの。大江氏率いるプランテック総合計画事務所が手がける物件は美術館や生産施設、研究所、オフィスビル、商業施設と多岐にわたる。このエリアでいえば「玉川髙島屋S・C南館」や、二子玉川駅前のタワーマンション「プラウドタワー二子玉川」も彼らの設計によるものだ。これらの建築物は白を基調にしたトーンで統一され、この街の“色み”ともいえる空気をつくりあげている。

「瀬田ファースト」の特徴は、なんといっても敷地の高低差を生かした段状の設計だ。各住戸の専有面積は約100~230㎡と大きくとってあり、各戸とも南に向かってルーフバルコニーやラウンド型のリビングが開けている。敷地は南側の隣接地より高い位置にあり、下層階(1~2階)では窓の外には豊かな緑、上層階(3~6階)では多摩川に向かってほとんど遮るもののない眺望が眼前に広がる。まるでリゾートホテルにいるかのような、ゆったりとした気分が楽しめる住まいだ。

「瀬田ファースト」最上階からの眺望。

「瀬田ファースト」は時を経て、分譲物件から高級賃貸レジデンスとなっていた。竣工から20年が経った2012年、R100 tokyo を運営する株式会社リビタが10戸を買い取り、所有者としてリノベーション事業に参画。賃貸レジデンスとして運用されていた20年間で老朽した共用部分を含めたリノベーションを行うとともに、管理会社や組合と共働して長期修繕計画や管理の見直しを行った。最高級とされる名作マンションでも、その価値を維持するためには適切な管理が重要な役割となっている。次世代へとその魅力を伝え続けるこの再生への取り組みが評価され、2013年にはグッドデザイン賞を受賞している。「瀬田ファースト」のもつ魅力が普遍的に維持される仕組みをインストールし、新たな世代へ豊かな暮らしを継承していく——建築物・不動産のリノベーション事業を広く扱うリビタにとって、瀬田ファーストのリノベーションはさまざまな挑戦をしたパイロットプロジェクトでもある。

アール状の塀や空中廊下など、随所に光るデザイン

遠目に見ても印象的な佇まいの「瀬田ファースト」だが、建物に近づいていくとまた異なる個性的な表情を見せてくれる。国分寺崖線の保存林の中に、突然のように現れる白い建物。まず目に入るのは、敷地の境界に設けられたアール状の塀で、幾重の塀によってつくられたアプローチが森の中の隠れ家を思わせる。進んでいくと空中廊下がまっすぐに伸び、四角錐を真っ白な枠が取り囲む印象的なオブジェが見える。この廊下は建物の3階部分へと続いており、共用部分の螺旋階段へとつながっている。

緑の中に突然現れる真白の館。特徴的なアールの塀が洗練された雰囲気を伝える。
開放感のあるロビーは竣工時から変わらぬデザインで、2013年に一部のリノベーションを行った。

メインエントランスは建物北側に設けられているが、南側は傾斜に沿って階段があり、サブエントランスとして徒歩利用可能だ。こちらから出れば二子玉川駅へのアクセスがぐっとよくなる。ロビーから階段へと抜ける開口部は外の空と光を切り取る額縁のように機能しており、建築デザインとしても美しい。(自動車の動線は歩行者動線としっかり分けられている。)

マンション南側のサブエントランスへとつながる階段。
マンション南側のサブエントランスへとつながる階段。

住戸はエントランスロビーから東側、西側へと分かれている。それぞれにエレベーターが1基ずつ設置されており、各フロア1〜2戸で共有するためプライバシー性に優れている。全15戸のほぼすべてが異なる設計で、3〜5階の上層階は眺望を存分に楽しめる広い開口部を中心としたプラン。1・2階の低層階は、ワイドスパンやメゾネット設計を取り入れ、戸建て感覚の快適性が演出されている。

空間を全てつなげた、広さを生かすリノベーション

ここでは2013年にリビタが手がけたリノベーションの一例を紹介していく。東京のヴィンテージマンションを象徴する「瀬田ファースト」にふさわしく、内装設計・デザインには日本を代表する空間プロデュース企業・乃村工藝社の小坂 竜氏が率いるA.N.D.や、南部昌亮(まさあき)氏率いるFORWARD STYLEを起用した。

リノベーションのポイントは、南に向けて贅沢に開かれた開口とテラスという他では得難い特徴を、内装デザインでいかに生かし、その魅力を増していくかにあった。リノベーション前には玄関、キッチン、ダイニング、リビングがそれぞれ独立して区切られた空間になっていたが、リノベーションではこの4つをすべてつなげ、テラスとの連動ももたせて開放感あふれる空間を創出。玄関ドアとリビングも仕切らない決断をし、間仕切りや柱に意匠を凝らして、外からの視線をさりげなく遮る設計にした。

リビングダイニングなどのパブリックスペースと居室のプライベートスペースは、玄関ホールを挟んで分けられたPP分離設計となっている。マスターベッドルームには専用のバスルームが設置された仕様だ。

面積の広い住居のリノベーションの際には給湯計画に配慮が求められる。給湯器からの距離が生じ、湯が出るまでに時間がかかるなど不便を感じる可能性があるためだ。ガス給湯器に加えて電気温水器を併設し、ハイブリッド給湯でスムーズに湯が供給されるような設計や、浴室はユニットバスではなく在来工法とし、しっかりと防水施工をしたうえで浴室を設えるなどの工夫が必要となる。

上階の住戸ではラウンドした窓周りなど、特殊な形状の部分もあるため、内装とインテリアはトータルで考え、空間をつくりあげていくことを基調に、ファミリーでの住まいとしても、セカンドハウスとしても、心地よく過ごすことができる住まいを目指した。

乃村工藝社 A.N.D 小坂 竜氏による内装デザイン事例。
乃村工藝社 A.N.D 小坂 竜氏による内装デザイン事例。
FORWARD STYLE 南部昌亮氏による内装デザイン事例。
FORWARD STYLE 南部昌亮氏による内装デザイン事例。

1990年前後のバブル期に建てられた邸宅マンションには、粋と贅を競いながら、突出した設計思想をもってつくられたものが多い。なかでも「瀬田ファースト」は時代を、そして街を象徴するマスターピースだ。その思想を維持し、丁寧に再生して次世代に受け継いでいくことは、良質な社会資本を生かしていくという視点でも意義が大きいはずだ。街のシンボル的存在として、愛され続ける傑作ヴィンテージマンションがここにある。

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