お問合せ

03-6756-0100

営業時間 10:00〜18:00(火水祝定休)

  1. R100 TOKYO
  2. Curiosity
  3. 人生を愉しむ
  4. 元スケーターが描く曖昧な境界。山口幸士の心象に映る写実と抽象の間。
Curiosity| 人生を豊かにするモノやコトを紹介するウェブマガジン。
元スケーターが描く曖昧な境界。<br>山口幸士の心象に映る写実と抽象の間。
山本憲資の「今、手元に置きたいアート」

元スケーターが描く曖昧な境界。
山口幸士の心象に映る写実と抽象の間。

山本憲資が、自身でリアルに購入した、
今注目のアーティストの旬なアート作品を紹介。
山口幸士の描く、心象を通じた日常の”リアル”。

この数年、日本でもギャラリーやアートフェア、アートイベントの数も増え、アートに接する機会が増えたという人も少なくない。それに伴い、自宅にもアートを飾りたい、手元に置きたいというニーズも着実に増え、日本のコンテンポラリーアートのマーケットも年々順調に拡大している。
現代アート好きとして知られる、スマホ収納サービスのサマリーポケットを展開するスタートアップ『Sumally (サマリー)』のFounder&CEOの山本憲資(けんすけ)氏も例外ではなく、昨年夏に軽井沢に拠点を移してから作品を購入する機会が増えてきたという。購入しているものは、数万〜数十万円以内のサラリーマンでも手の届く価格帯のものも多く、今後もコンスタントに買い続けたいと話す。本連載では、山本氏が購入した”手の届く”アートとアーティストとのストーリーを自身が綴っていく。第五回の今回は山口幸士のペインティング。

Text by Kensuke Yamamoto
Edit by Fumi Itose

アーティストの源流がモチーフの初期作品

第五回の今回紹介するのは、アーティスト・山口幸士のペインティングです。山口さんのInstagramのストーリーの背景にちらっと写っていたのが気になって、つい先日、特別に購入させてもらった作品です。

山口さんは元々はスケーターでもあり、街中をスケボーで巡りながら日常の光景を描いたりしていました。その後、ニューヨークで生活している中、スケートボードで靭帯を切るという大怪我をきっかけに、アーティストに専念しました(スケボーも今後また再開する予定があるとも)。ストリートアートの作家としては珍しくない経歴かもしれないですが、花や風景といった情緒の内包するモチーフを油彩で描く山口さんの作品は、ポップなモチーフが描かれることも多い、いわゆるグラフィティ的なストリートアートとは一線を画しています。

今回の作品は、山口さんが好きな作家のひとりだというジョルジョ・モランディの作品集の上にバラが置かれた光景が描かれています。以前にもそのエピソードを聞いたことがあったので、パーソナルな思い入れのモチーフが題材のひとつになっているこの作品に、瞬間的に惹かれてしまいました。

背景のキャンバスも、緑がかったグレーと茶のかかったカーキのツートンになっていて、近年の作風とは少し趣が異なるテイストにもまた引き込まれました。背景に溶け込むような作品集の表紙の色味と、バラとのコントラストが見事に際立っていて、うちの小屋の中でも独特の存在感をはなっています。

美術館の記憶とシンクロするぼやけた輪郭

これ以外にも、山口さんの作品は小屋に4つあります。個人的に一番思い入れがあるのは、今はもう取り壊されてしまった品川の原美術館の展示室の一室に佇む、アップライトピアノが描かれたものです。

このピアノは原美術館のクロージングイベントとして行われた、ピアニストの向井山朋子さんのパフォーマンスに合わせて持ち込まれたもの。向井山さんが撮影していたこの展示室のスナップのフレーミングが、山口さんの絵の雰囲気にぴったりなのではと感じて、原美術館の思い出にしたい気持ちもありお願いして描いていただいたものです。ちなみにこの絵のモノクロームバージョンは、向井山さんのお手元にあります。

この少しぼやけた輪郭は、山口さんの絵のひとつのアイデンティティで、絵の中の光を際立たせるのに実に効果的な演出になっています。スケートボードからの流れる景色や、視力が悪い山口さんが裸眼で見る世界が、このスタイルの源泉にあるとのこと。こんなふうに光を描けるアーティストにはなかなか巡り会えないもので、やさしい空気感に心が吸い込まれるような気分になります。その心地のよさに、リビングだけでなく玄関や洗面と、小屋の随所に山口作品を置いています。

Information

4月30日(土)〜5月4日(水)に川崎の工場を舞台に展覧会(タイトル未定)を開催予定。委細はまもなく公開予定とのこと。続報を待て!

profile

山本 憲資

1981年生まれ、神戸出身。広告代理店・電通、雑誌『GQ』編集者を経て、Sumallyを設立。スマホ収納サービス『サマリーポケット』も好評。音楽、食、舞台、アートなどへの興味が強く、週末には何かしらのインプットを求めて各地を飛び回る日々。「ビジネスにおいて最も重要なものは解像度であり、高解像度なインプットこそ、高解像度なアウトプットを生む」ということを信じて人生を過ごす。

サマリーポケット
▶︎https://pocket.sumally.com/

R100 TOKYO THE CLUBに会員登録
THE CLUB

R100 TOKYO THE CLUB

厳選された情報を会員様のみに配信

THE CLUB(入会費・年会費無料)

自社分譲物件をはじめ厳選された100㎡超の物件情報や、先行案内会、イベントご招待など、会員様限定でお届けします。

人生を豊かにするモノやコトを紹介するウェブマガジン。