手の届きそうな、稀少な私写真との巡り合い
第4回の今回紹介するのは、写真家のテリ・ワイフェンバックのプリントです。昨年末から先月末まで、目黒のBlitz Galleryで開催されていた「Cloud Physics」展で購入した作品です。
ワイフェンバックは元々ドイツを拠点に活躍していましたが、パートナーの仕事の都合で、少し前にパリに拠点を移したとのこと。今回の展示はパリを中心にフランスで撮影されたものが展示のメインでした。
通常のプリントは数十万円〜三桁のお値段なのでなかなか手が届きにくいのですが、今回の展示では、実験的にiPhoneで撮影してみたという16点の新作が、リーズナブルな価格で販売されていました。ブルゴーニュ地方で撮影されたという、僕の住んでいる軽井沢の景色にも近い、木々が生い茂る風景の空に月が浮かんでいるカットのものが気に入り、これなら手が届きそうということで購入を決めました。
エディションについては表記はないものの、各2枚限定ということでこれまた稀少な私写真に巡り合えた気がしました。ワイフェンバックの写真には元々パーソナルな要素が強いのですが、このiPhoneのシリーズにはさらに何気ない感じの上に、しっかりと彼女のセンスがパーソナルに宿った雰囲気に惹かれ、とても好みだったこともあり約20年ぶりに彼女の作品をうちに迎え入れることになったのでした。
20年前から知る彼女にしか切り取れない自然の世界
そう、テリ・ワイフェンバックとの出会いは僕がまだ大学生の頃なので、もう20年くらい前のことだったのです。写真に映っている光景は実に何気ない自然の景色なのに、そこには彼女にしか切り取れない世界がありました。
その世界観に没入した僕は、当時でもそこそこの値段がついていたプリント付きの小さな写真集のシリーズ『One Picture Book』の、彼女の写真がフィーチャーされたVol.2〜4を背伸びをしてコンプリート。そこからプリントだけを取り外して、花と蜂と空の3枚の写真を並べて額装したのです。今回購入した作品はそのプリントの横に並べて飾っていて、少々の時が経とうともその世界観がしっかりと連続していることを感じています。
3枚並びの作品は以前は東京で飾っていたのですが、軽井沢でこの写真を見るとまた別の印象になります。都会のマンションにももちろんフィットしますが、森の中の住まいに飾るこれらの写真にもまた格別の愉しみがあります。
Information
New!
作品集「Cloud Physics」が昨年末に発売。
Terri Weifrnbach「Cloud Physics」
https://www.amazon.co.jp/Cloud-Physics-Terri-Weifenbach/dp/099926558X
profile
1981年生まれ、神戸出身。広告代理店・電通、雑誌『GQ』編集者を経て、Sumallyを設立。スマホ収納サービス『サマリーポケット』も好評。音楽、食、舞台、アートなどへの興味が強く、週末には何かしらのインプットを求めて各地を飛び回る日々。「ビジネスにおいて最も重要なものは解像度であり、高解像度なインプットこそ、高解像度なアウトプットを生む」ということを信じて人生を過ごす。
サマリーポケット
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