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DESIGNART発起人のふたりが語る、東京の魅力と未来
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DESIGNART発起人のふたりが語る、東京の魅力と未来

街全体をミュージアムに――DESIGNARTから見る東京の可能性

毎秋開催される日本最大級のデザインとアートの祭典、DESIGNART TOKYO(デザイナートトーキョー)は、何を目指し、どのような活動を続けているのか。DESIGNARTの発起人で代表を務める青木昭夫さんと、同じく発起人の川上シュンさんに話を聞いた。

Text by Hisashi Ikai
Photographs by Takao Ohta(portrait)
DESIGNART発起人で代表の青木昭夫さん(左)と発起人の川上シュンさん。DESIGNART TOKYOのメイン会場となるワールド北青山ビル1階で。

時代を動かすために、境界を越える

秋が深まる10月下旬の東京で、恒例のように各種のデザインイベントが行われるようになったのは、2000年をまたいだ頃だっただろうか。一時は、デザイナーズブロック、東京デザイナーズウィーク、デザインタイドなど、国内外のデザイナーが集合する大型展覧会が複数開催されていたにもかかわらず、東京オリンピックのロゴデザインや建築プランにまつわる論争、さらに2016年のイベント開催時に起こった火災事故によって、その波は一気に収束。今後、東京でデザインが語られることもなくなってしまうのではないか。そんな話題がまことしやかに噂されていた。

「今では世界で活躍する片山正通さんやnendo(ネンド)さんも、早期からこうしたイベントに積極的に参加し、頭角を現してきた面々。あれだけ多くの人を巻き込みながら街が活気づいていたのに、一堂に会するイベントがなくなってしまっては、新しい才能が世に出るチャンスが失われるばかりか、東京がどんどん寂しなっていってしまうようで、残念でなりませんでした」

自身もデザインイベントのオーガナイズに関わってきたクリエイティブディレクターの青木昭夫さんは、新たに何かできないだろうかと、旧知のアートディレクター、川上シュンさんに相談を持ちかけた。

「東京に生まれ、育った僕にとっても、この街は常に未曾有の可能性を秘めた場所。デザインイベントはその最たる存在でしたが、ひとつ疑問だったのは、そもそもなぜクリエイティブな活動を“デザイン”という枠組みだけに縛らなければならないのかということ。アート・バーゼルやデザインマイアミなど、海外で人気のイベントは、デザインもアートも凌駕した全領域の表現を対象にしています。もし新しい活動を起こすならば、分け隔てなく面白いものを見つけて、紹介する。そこに徹するべきだと思ったのです」

川上さんの提言を受け、青木さんは改めてデザインの歴史と潮流を見返していく。

「たしかに19世紀後期にイギリス人デザイナーのウィリアム・モリスが起こした『アーツ&クラフツ運動』がアール・ヌーボーをはじめとしたヨーロッパ各国の美術運動へと発展し、その後日本では柳 宗悦を中心とする民藝の流れが起きる。そこには活動領域の違いなどなく、とにかく良いものを探り出し、たしかな価値を見出すことに意義がありました。そのためにはできるだけ多くのタッチポイントをつくらなければならない」

そう感じたふたりは、一念発起。建築家のアストリッド・クライン、マーク・ダイサム(ともにKlein Dytham architecture)、コミュニケーションディレクターの小池博史(NON-GRID)、プランニングディレクターの永田宙郷(TIMELESS)を含めた6人の発起人が、ひとり100万円ずつ出資し、2017年に第1回の「DESIGNART TOKYO」を開催した。

DESIGNARTの発起人。左より、永田宙郷さん、川上シュンさん、青木昭夫さん、アストリッド・クラインさん、マーク・ダイサムさん、小池博史さん。
2017年、DESIGNART TOKYO第1回のメインエキシビション「Pierre Charpin」。
2017年、第1回DESIGNART TOKYOのオープニングイベント“PechaKucha Night”の様子。

デザイン&アートが見せる、無限の可能性

領域を超え、誰しもが分け隔てなくクリエイティブな作品や活動に出合えるようにと、彼らが率先して考えたのがマッチングの仕組みだ。作品を発表したくても場所を持たないクリエイターと、今までとは違うかたちで空間をアクティベイトさせたいスペース所有者のあいだにDESIGNARTが入り、次々に新たな場所を発掘。飲食施設やブティック、公共施設など、通常は展示スペースとして使われない場所と積極的にコンタクトを取り、適切と思われるクリエイターを紹介し続けた。

「普通ならば関係を持たない者同士が出会うと、そこに想像もしていなかった化学反応が起こります。2019年には、イタリアの家具ブランド〈B&B Italia〉とファッションからグラフィック、映像など幅広いデザイン活動を行う〈SOMA DESIGN〉、そしてイタリアのレザーウォール〈studioart〉がコラボレーション。インテリアとファッションの世界を融合しながら、レザータイルのモザイク画で空間を彩り、話題を呼びました。また、建築家の永山祐子とアーティストの藤元 明が、2017年に青山通り沿いに完成したエイベックスビルの1階を貫く巨大なインスタレーションを展開し、多くの来場者が訪れました」

インテリアに服を着せるような感覚で展開したB&B Italiaでの展示風景(2019年)。ⓒNacasa & Partners
オリンピック開催後の東京の姿を考え、赤いラインが建物の中心を貫く壮大なプランを永山祐子と藤元 明が提案した(2018年)。ⓒOMOTE-Nobutada

デザインとアートの意義をフォルムの美しさや機能性の高さといった表面的な価値に限定せず、社会的役割や未来を見据えた思想にまで発展させる。こうした大きな目標を達成するためには、DESIGNART TOKYOの主催者や出展者はもちろん、参加者までもが意識を高め、自主性を持って動いてこそ、街と人にクリエイティブな感覚が根付き、自身を取り巻く環境に対するリテラシーも向上する。そう信じながら、DESIGNART TOKYOは一歩ずつ前進を重ね、この秋で6回目の開催を迎える。

夢を描く一方で、川上さんは、自らがデザインする側に立つ人間だからこそ、クリエイターに対する厳しい意見も述べる。

「デザイナーは、クライアントワークをベースにしていると、与えられた課題の解決は得意になっても、自分で問題を提議して解決法を探ったり、新たにチャレンジをする機会を見失ってしまう。クリエイターとして存在し続けるならば、予定調和に応える御用聞きでいるよりも、まだ見ぬ世界を切り開き、自分の理念を信じて突き進むべきだと思います」

さらにクリエイターたちの発言を広く、遠くに投げかけ、より多くの人々との対話の機会を設けるべく、第1回から DESIGNART TOKYOが目指したのは、世界に向けて情報発信するための体制の国際化だ。

「内容がどれほど充実していても、それが広く伝わらなければ意味が半減してしまう。従来の東京のデザインイベントは日本語での発信が基本だったため、海外メディアに届きづらく、参加者もなかなかグローバルになりませんでした。だからこそ、DESIGNART TOKYOでは、英語での発信をベースとする“ENGLISH FIRST”を導入。日英のバイリンガルで情報を公開することで、国外からの注目を集めると同時に、より多様なコンテンツを展開できるようになりました」

今年のパンフレットの表紙は英語のみ。中面は日英で併記している。

拡張を続ける、活動体としてのDESIGNART

回を重ねるごとにエリアを拡大し続けてきたDESIGNART TOKYOだが、初回から中心地的存在にしているのが、表参道を中心とした青山一帯だ。エリアごとに異なる個性を放つ東京で、青山にこだわる理由を川上さんはこのように説明する。

「元々この界隈にはインテリアショップが多く、複数のデザインイベントが過去に開催されていた背景もありますが、感覚的には東京で一番 “MIX感”がある土地だからこそ魅力的なのだと思います。渋谷は IT系、原宿はポップ、銀座ならラグジュアリーというように、東京はエリアごとに特有の空気感を醸し出す一方で、表参道の交差点を中心とした青山一帯は、グローバルなハイブランドのショップの並びに日本の個性的なファッションブティックがあったり、表参道ヒルズなどの複合施設、スパイラルや青山ブックセンターといった文化施設など、実に多様。青山は、さまざまなカルチャーがクロスオーバーして、東京を凝縮したような刺激を感じさせてくれるんです」

今年は青山、六本木に加え、銀座でもイベントを開催。今後は、さらに大きく東京を捉えながら、エリアを拡張していく計画もあるという。

2017年のイベントでは、表参道界隈にはオフィシャル・カーとオフィシャル・カフェが登場した。
2017年のイベントでは、表参道界隈にはオフィシャル・カーとオフィシャル・カフェが登場した。

DESIGNART TOKYOは、現在秋のイベント開催を活動の中心に据えながら、より多角的に社会と絡み合い、持続性のあるコンテンツを創出するために、公共建築の建設費の1%を芸術やアートのための費用に充てようという〈1% for Art〉を知らしめる署名活動プロジェクトも傍らで手がけている。

2019年に開催された〈1% for Art〉をテーマにしたメインエキシビション。ⓒNacasa & Partners

「期間限定のイベントでは、一度つくったものも展覧会終了とともに壊していかなければなりません。人々の心を揺さぶり、興味をそそるものをもっと恒常的に伝えるために、作品をパブリックアートとして残す。DESIGNART TOKYOがそのきっかけになれれば良いと考えています」

青木さんは、地域の観光協会や交通協会と連携を取りながら、渋谷の宮下公園に鈴木康広の「渋谷の方位磁針|ハチの宇宙」や、渋谷駅東口広場にジュリアン・オピーの「Night City」といった作品を設置。パブリックアートがシンボリックな存在となり人を集めることで街が新しく息づきはじめるとともに、このプロジェクトが若手アーティスト支援のためのプラットフォームとなることも目指している。

宮下公園に設置された鈴木康広のパブリックアート「渋谷の方位磁針|ハチの宇宙」。Photo:Keiko Chiba @ Nacasa & Partners
渋谷駅東口広場に設置されたジュリアン・オピーの「Night City」。ⓒSHIBUYA FASHION WEEK Photo:Yosuke Owashi

また、デザイン・アートの力をもって未来を開拓していく次世代のリーダーを育成するために、DESIGNART 研究所(国際ブランディングディレクター 養成塾)を過去2年開催。いかにアイデアを絞り出し、考えを確固たるものにしながら、プレゼンテーションをしていくか。ものづくりに関わる各界のトップランナーが講師陣を務める講座は、実践的なビジネスデザインを学べると話題に。大手企業の新規事業開発担当者や中小企業の経営者を中心に申し込みが集中しているという。

DESIGNART 研究所(国際ブランディングディレクター 養成塾)の授業風景。

“良き伝え手”として、作り手を裏で支え、社会と連携を取りながら、より広がりのある世界を創造していくDESIGNART TOKYO。コロナ禍を経た現在、デザイン・アートが未来に投げかけるメッセージとは何か。今年の開催が待ち遠しい。

profile

青木昭夫

1978年東京都生まれ。DESIGNART代表。2005年デザインイベント〈DESIGNTIDE TOKYO〉のディレクターを務める。2009年MIRU DESIGN設立。異なる分野のデザイナーたちとのネットワークを活かし、プロモーションイベントのプロデュース、ディレクション、コーディネートや商業施設の空間演出を行う。また、〈more trees〉〈SHIBUYA FASHION WEEK〉のディレクションにも携わる。
▶︎http://miru-design.com

profile

川上 シュン

1977年東京都生まれ。DESIGNARTの発起人のひとり。2001年artless Inc.を設立。『+81 magazine』などのグラフィックデザインを中心に活動をスタート。現在は、すべてのデザイン領域における包括的なブランディングとコンサルティングをグローバルに展開。カンヌ国際広告祭金賞、iFデザイン賞、NY ADC賞など受賞歴多数。また、アーティストとして作品も発表している。
▶︎http://www.artless.co.jp/

Information

DESIGNART TOKYO 2022
テーマは「TOGETHER~融合する好奇心~」
開催期間 10月21日(金)~10月30日(日)
▶︎https://designart.jp/

R100 tokyo/Curiosityが注目するエキシビション

NEXT CIRCULATION Sustainable & Technology

会場:ワールド北青山ビル 東京都港区北青山3-5-10
SDGsによる持続可能な社会に向けて、各界をリードする企業ブランドとクリエイターによる取り組みからリサイクルやアップサイクルの“その先”までを見据えた、DESIGNART TOKYO 2022のメインエキシビション。空間構成は建築家・デザイナーの板坂 諭。
▶︎https://designart.jp/designarttokyo2022/exhibitions/3111/

「KAISU」

会場:KAISU 東京都港区赤坂6-13-5
東京・赤坂の旧料亭をリノベーションした「KAISU」を会場に、気鋭のクリエイターの家具作品が集結。建築家の芦沢啓治が代表を務める石巻工房による家具とプロトタイプの展示「2days at Ishinomaki Laboratory」等を開催。
▶︎https://designart.jp/designarttokyo2022/exhibitions/2726/
*芦沢啓治さんのインタビュー記事はこちら
▶︎https://r100tokyo.com/curiosity/designer/200903/

SANLORENZO JAPAN meets Kazuto Imura

会場:MA5 GALLERY by SANLORENZO JAPAN 東京都港区南青山5-10-17
世界屈指のイタリアンヨットブランドがSANLORENZO JAPANとしてプレローンチするのに合わせ、アーティスト・井村一登との個展「Æ/æ」を開催。人と鏡の関係性の歴史を追体験し、鏡が創り出す幻想的な空間を楽しむことができる。
▶︎https://designart.jp/designarttokyo2022/exhibitions/566/
*アーティスト・井村一登さんの記事はこちら
▶︎https://r100tokyo.com/curiosity/talk-art/arttalk_vol016/

ARIAKE with LE KLINT / Bang&Olufsen / BELAIR LAB

会場:アルテカベルテプラザ 東京都港区南青山4-1-15 #103
家具の町、佐賀県諸富町のレグナテックと平田椅子製作所が立ち上げたグローバルブランド「ARIAKE」が、照明ブランド「LE KLINT」、音響機器ブランド「Bang&Olufsen」、フレグランスブランド「BELAIR LAB」とコラボした作品を展示。
▶︎https://designart.jp/designarttokyo2022/exhibitions/571/
*ARIAKEの記事はこちら
▶︎https://r100tokyo.com/curiosity/stay-home-with-attitude/vol2/

 

*その他、コンテンツ詳細についてはこちら
DESIGNART TOKYO 2022 – EXHIBITIONS TOP
▶︎https://designart.jp/designarttokyo2022/exhibitions/

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