独特の色味と表情。
第16回の今回紹介するのは、松浦美桜香のドローイングです。松浦さんは多摩美術大学絵画学科油画専攻の現役の美大生です。先日まで渋谷のbiscuit galleryで開催されていたドローイングのグループ展『6drawings』で購入させてもらったものです。不思議なキャラクターとその少し不気味だけど愛嬌のある表情、それらを構成する美しい線と色味に惹かれました。シャネルの香水『CHANCE』のテスターを持っていて、香水と差し色のピンクのシンクロニシティ、キャラ本体のブルーとのコントラストの好きな色味で。腕に絶妙にグリーンがかかっているところも気に入っています。
まだ額装はこれからなのですが、本物のCHANCEの香水瓶と並べて飾ると面白いのではと思っています。CHANCEの瓶にもサインしてもらえたらいいなと思っていて、それはそれで手配せねばです。
CHANELの香水瓶のようなわかりやすいモチーフが出てくると、作品全体の雰囲気がそっちに持っていかれるケースも少なくないですが、このドローイングに関してはキャラがモチーフに決して負けていなくて、彼女は他にもコラージュ的な作品も作っていますが、おそらくそこを分かって使っていると思います。
2021年に購入していたドローイング。
松浦さんの作品を初めて観たのは、2021年に渋谷のRoom_412で開催されたグループ展のときでした。展示もよかったのですが、カウンターに置かれたドローイングのポートフォリオを観てとても気に入って、値段はついていなかったのですが直接お願いしてそのときにも2点ほど購入させてもらっていました。
上の写真を見ていただいたらわかると思うのですが、今回購入した作品にも通じる雰囲気があります。色味、造形も完璧に好みでした。
もう1点も素敵で、人物の輪郭は一瞬五木田智央のドローイングに出てきそうな雰囲気があるのですが、右下に小さくまとまった表情、左右の腕の太さのギャップ、そして指先の形状など実に彼女らしさが反映されていて、当時から末恐ろしい美大生だなと感じたことを今もよく覚えています。
木炭画や立体作品も。
彼女はドローイングだけではなく、木炭画やぬいぐるみなどの立体作品も手掛けています。この奇形感がまた独特でどこか愛しさを感じさせるものになっています。若手作家の登竜門的なアワードのひとつ「シェル美術賞2021」では木炭画で審査員賞を受賞していました。ちなみにその審査員はアーティストのユアサエボシさん、でした。
昨年より油彩の作品の発表をはじめていて、少し荒削りなところもありながらドローイングの延長線上の魅力があり、これだと思えるものに出会えたタイミングで油彩も手元に置けたらいいなと思っていて、今後の活躍がとても楽しみな作家のひとりです。
Information
松浦美桜香「wsiw¿」
会期:2023年12月2日(土)~2024年1月7日(日) ※会期中無休
会場:GALLERY ROOM・A (open: 8:00~23:00)
住所:東京都墨田区本所2-16-5 KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS 1Fストレージ
アクセス:都営浅草線「浅草駅」徒歩8分 「本所吾妻橋駅」徒歩9分、都営大江戸線「蔵前駅」徒歩9分
観覧料:無料
▶︎https://artsticker.app/events/17064
Information
下記のグループ展に前後期とも彼女が参加しています。
biscuit gallery 2nd anniversary exhibition(終了)
「grid2」
会場:biscuit gallery(渋谷)
東京都渋谷区松濤1-28-8 biscuit bldg. 1F~3F
会期:2023年2月25日(土)〜4月16日(日) ※前期:2/25〜3/19・後期:3/25〜4/16
木・金 13:00~19:00 土・日 12:00〜18:00 月~水 休廊
▶︎https://biscuitgallery.com/grid2/
profile
1981年生まれ、神戸出身。広告代理店、雑誌編集者を経て、Sumallyを設立。スマホ収納サービス『サマリーポケット』も好評を博している。アート以外にも、音楽、食、舞台、などへの興味が強く、週末には何かしらのインプットを求めて各地を飛び回る日々。「ビジネスにおいて最も重要なものは解像度であり、高解像度なインプットこそ、高解像度なアウトプットを生む」ということを信じて人生を過ごす。
サマリーポケット
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