現代アートとしての評価も高いアメリカの写真家
第8回の今回紹介するのは、ジャック・ピアソンのプリントです。1990年代にはすでに世界で名が知られていたジャック・ピアソンを僕が最初に知ったのは、2000年を過ぎたころだったか、まだ大学生の時だったと思います。雑誌で見たのか、作品集を眺める機会があったのか、そのきっかけを明確には覚えてはいませんが、何気ない風景を切り取ったスナップがとても印象的でした。
今回紹介する、古い看板に使われていた様々なフォントのサインを文字ごとに並べ、シニカルな単語に仕立てた『ワード・スカルプチャー』シリーズは、彼の作品の中でも特に好みです。またこのシリーズは2007年にはファッションブランドのSOPHNET.とコラボレーション。僕もいくつか購入し、パーカーやニットキャップなど今も愛用しています。また当時、SOPHNET.のデザイナーの清永さんのご自宅に、このシリーズの巨大な実物作品が飾られていたのも、よく覚えています。
小屋にフィットする『Solituide』モチーフのプリント
うちの軽井沢の小屋『游獅山荘』には展示スペースもなく、この作品の実物を飾るのはサイズ的に(お値段的にもまた)現実的ではありませんが、ふとebayに、このシリーズの『Solitude』モチーフの額装済みプリントが、手の届く価格で出品されているのを発見。
1995年に出版されたピアソンの3冊目の写真集『All of Sudden』のデラックス・エディションに、70部限定でセットとしてついていたものです。
ちょっとポップなフォントで掲示された『Solitude』という孤独を意味する単語が、小屋でひとり時間を(それなりに楽しく)過ごしていることも多い僕の気分にぴったりで、そこに運命を感じて落札してしまいました。
ここ『游獅山荘』は、アメリカのモダニズムを代表する建築家フィリップ・ジョンソンが、ニューヨーク郊外に自邸として建て、ひとりで暮らしひとりで亡くなったと言われているグラスハウスを、勝手な憧れのベンチマークとして考えているところもあり、このようなスタイルでの孤独への肯定は実に共感度の高いものです。このサイズですと、主張しすぎずに飾れるのもまたいいポイントです。
Information
ちょうどスタイリストの野口強さんがディレクションするブランドStie-lo(スティーロ)から、ジャック・ピアソンモチーフのTシャツが発売されるというニュースを、この記事を書いているときに発見。受注は6月26日で終わってしまっていますが、8月上旬に、同じく野口さんが主宰するクリエイティブ・レーベルMINEDENIM(マインデニム)の直営店「MINED」等でも発売されるそうです。
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profile
1981年生まれ、神戸出身。広告代理店・電通、雑誌『GQ』編集者を経て、Sumallyを設立。スマホ収納サービス『サマリーポケット』も好評。音楽、食、舞台、アートなどへの興味が強く、週末には何かしらのインプットを求めて各地を飛び回る日々。「ビジネスにおいて最も重要なものは解像度であり、高解像度なインプットこそ、高解像度なアウトプットを生む」ということを信じて人生を過ごす。