アートとマテリアル

春 秋

内装や家具に用いた素材の多くは、
古くから良質な建材として愛されてきたものや
優れた職人技術が生きたものだ。
ここでは素材そのものがアートと同じような美しさや
面白さといった価値を発揮している。
今回はそんなインテリアを個性的なアートが彩ることで
完成する上質な空間を体現。
老舗ギャラリーの協力による期間限定の企画で
「インテリアとアートが響き合う空間」を提案する


[床材]
クリ材の浮造り仕上げ
「春秋」の明るく柔らかなイメージに添うよう、LDKの床材は明るいトーンのクリ材に。クリ材は古くから数寄屋建築や床の間などに使われてきた硬い材で、木目の表情が美しい。その質感がより感じられるよう、手作業でなぐった浮造り仕上げとした。


[壁紙]
木蓮を描いた和紙
ライブラリーのベンチ背面には春の花である木蓮が描かれた和紙の壁紙を。ゴールドの箔による光沢が美しい陰影を生み出す。リビングダイニングの山並みを描いた壁紙や玄関のしだれ桜をイメージした壁紙も和紙でできたもの。


[壁紙]
ビーズで枝模様を施した紙クロス
主寝室のヘッドボード側に貼った壁紙は、秋の枯葉が落ちた後の樹木をイメージしてゴールド色のビーズで枝の模様を描いたものをセレクト。アクセントとして、壁の一面にのみ使用している。光を受けるとビーズがメタリックに輝く様が美しい。


[箪笥]
CASA BUKU
この部屋のためにデザインしたシノワズリな箪笥は、リビングダイニングの出入り口を中心にシンメトリーに配置。箪笥の扉は秋をイメージして漆を思わせる朱塗りとし、閂の周囲は古美色の鉄をたたいて仕上げている。


[デスクソファ]
CASA BUKU
主寝室に隣接する書斎には、フレキシブルな使い方ができるデスクソファを。デスクだけでなくさまざまな場所がワークスペースになり得るという考え方を反映してデザインした。壁際に置けばデスクをコンソールとして使用することも可能だ。


[日本画]
菅原健彦「三春流転」
1962年、東京生まれ。多摩美術大学卒。樹齢千年を超える神代桜との出合いをきっかけに、生命のダイナミズムをテーマとして桜や松などを描く。「三春流転」は桜の古木が春から冬へと移り変わる様を描いたもの。/ギャルリーためなが


[油彩]
吉川民仁「桜色」「紅」
1965年、千葉生まれ。武蔵野美術大学大学院卒。自然界のなかにある色彩に着目し、絵の具を何層にも重ねた奥行きのある抽象画を描く。「桜色」「紅」では、コテの先に絵の具を取ってキャンバスへと投げ付けた斑が特徴的。/ギャルリーためなが


[油彩]
智内兄助「Utopia 桜まじ」
1948年、愛媛生まれ。東京藝術大学大学院卒。日本画と洋画との境界を越えた独自の技法を用い、蓮や蝶をモチーフにするなど花鳥風月をテーマにした幽玄な油彩を描く。女性をモチーフにした作品にも定評がある。/ギャルリーためなが


[油彩]
チェン・ジャン・ホン「光蓮」
1963年、中国・天津生まれ。中央美術学院(北京)卒。1987年、パリに移住。中国の伝統的な水墨画に油彩を融合させ、独自の技法で迫力ある作品を生み出す。蓮や海をモチーフにしたものが多数。絵本作家としても活躍。/ギャルリーためなが