#Design Eight / Shinsuke Fujii
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つながりを大切にした伸びやかな空間に、暮らしを楽しむエッセンスを散りばめる。
[ 室内設計:Design Eight ]
“日本の住宅文化を牽引する先見性”の具現化をコンセプトとするオパス有栖川プロジェクト。普遍的な美しさを備え、時を経ても魅力を放ち続ける。これは、本質的に心地良い暮らしをかなえるために欠かせない住まいの重要な要素であり、今後日本のハイエンドな住文化を牽引していく考え方だろう。今回のアルケミストであるインテリアデザイナー、藤井信介氏が常に目指すのは、まさにその考え方と同調する「いつまでも色褪せることのない本物のデザイン」。
それを具現化するために、色、形、素材、さらに空気の全てに意味を持たせたデザインを提案し続けている。そして、この住まいでは日常の安心感と非日常の高揚感の両方が感じられる空間を実現。その詳細を藤井氏にうかがった。
エントランスを開けると、その先にはひとつながりの伸びやかなパブリックスペースが広がっている。「空間の間合いや抜け感の一つひとつにこだわり、特につながりを大切にしました。エントランスは広々としたLDKとダイレクトにつながり、奥のテラスまで視線が伸びて面積以上の開放感があります。テラスの爽やかな緑が身近に感じられるのは、1階ならではでしょう。リビングからは中央のアイランド型キッチンの奥にギャラリーやダイニングの存在が感じられ、これらの空間の重なりと視線の抜けが奥行き感を強調します」。
また、この住まいには居場所が多く用意され、暮らしのなかのさまざまなシーンが次々に思い浮かぶ。多様な居場所がある空間は自由度が高く、将来的に家族構成やライフスタイルに変化があっても柔軟に対応できるだろう。「食事のシーンを重視して南東側の特等席に配したダイニングは、あえて場を分けることでフォーマルなシーンにも対応できるようにしました。ライフスタイルによってはここを個室として使用することもできます。
そしてリビングの脇には、緑を感じながらリラックスできるリラクシングエリアがあります。ひとつながりのパブリックスペースのなかで適度な距離を置きたいときに使う場をイメージしました」。
リラクシングエリアは住まいに必要不可欠な機能ではない「贅沢な余白」であり、それゆえに非日常感を演出してくれる。それでいて、ほかの空間と自由に繋げたり離したりでき、日々の暮らしのなかで有効に使いやすい。同様に、バスルームを介して二つのベッドルームが連続するプライベートスペースは、ホテルライクなプランとしつらえで足を踏み入れるたびに高揚感が感じられるだろう。間仕切りの引き戸を閉じれば各スペースのプライベート性を高めることができ、実用性も高い。効率の良い動線や現実的な使い勝手をかなえながら、暮らしを楽しむためのエッセンスを加える手法が、唯一無二の魅力を放つ住まいを生み出した。
さらに藤井氏がこだわったのは、これらのプランを引き立てるための素材や光環境だ。「デザインにおいて大切なのはトータルバランスを丁寧に調整することです。全体の印象を左右する素材は、空間の間合いや抜け感を生かすためにできる限り種類を絞り込んで選びました。木材、石材など経年変化が味わいになる本物の素材を厳選し、自然光やテラスの植栽が映える明るめのグレイッシュなトーンでまとめています。さらに、素材の艶感が際立つ光環境を慎重に検討し、自然光の導き方と照明計画によって昼夜で空間の印象をドラマチックに変化させています」。
表層を追うのではなく、確固たる理由を伴いながら一つひとつの要素を選び構成する藤井氏。だからこそ、この住まいには包み込まれるような居心地の良さがあり、同時に住み手をワクワクさせる魅力に満ちている。そしてこれこそが、時を経ても変わることのない住まいの価値となるだろう。
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