COLUMN Creators Talkクリエイターズトーク [建築家 芦沢啓治]

1973年生まれ。1996年横浜国立大学建築学科卒業。1996年architecture WORKSHOP に入社。2002年に家具製作工房 super robot に参加。2005 年芦沢啓治建築設計事務所を設立。2011年石巻工房設立。2016年小石川の街と未来をデザインと結ぶ新施設「DESIGN 小石川」を設立。建築・リノベーション、照明や家具デザインまで幅広く活動を展開する。

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5つのフィロソフィーへ
タフな空間が住む人を自由にする

僕が仕事をする上で、R100 TOKYOが掲げる5つの価値軸を常に意識しています。中でも、普遍性についてはよく考えることです。設計した瞬間から古くなるようでは困ってしまいますから。

お客さまにはいつも「タフな空間を作りましょう」と伝えます。多少散らかっていても人を招くことができる、キャラクター物を並べても負けない、オーナーが変わっても対応できる。そういうことを考えたタフな空間を作ることで、住む人がより自由になると思うんです。そして、空間とその可能性についてしっかりと考えることが普遍性に結びつくと思います。

例えば、小学校を建てたとしても、将来的に小学校以外の使われ方をするかもしれない。だからこそ設計の際に想像力を持って、先のことを考えたかということが肝心なのです。

音楽が流れるような自然なアプローチ

イクシクス麻布十番として生まれ変わる前の建物を初めて見た時、「うわっ!どっぷり 80年代だな。」と感じました。当時の設計者が目指していたのは普遍性ではなく、色々な素材を用いて高級感を押し出すことだったと思うんです。

僕が考える普遍的なデザインは、空間が一体として繋がっていることや、色や素材を調和させて心地よさを実現すること。マンションであれば、エントランスから部屋に辿り着くまでに「どんな音楽が流れているだろう」と考えて作ります。エントランスではクラシック、エレベーターではロック、部屋ではジャズでは統一感がありません。同じトーンでスッと入ってきて、もはや音楽が流れているのかも気にならないほど自然で、心地よく部屋に続いていくという感覚をデザインするのです。そのために、サイン、ディテール、色、家具の全てを駆使し、ハーモニーを奏でるよう指揮をとります。

イクシクス麻布十番ではエントランスのデザインや、ロビーの提案もでき、部屋まで美しい流れが作れたなと思っています。

 
家具が空間の悩みをリズミカルに解決

マンションだと限られた間取りの中で、家具をどうレイアウトするかというのがカギです。

コンセプトルームでは、ベンチを窓際に配置することで広いスペースを確保しました。こうしたアイデアを見つけることがプロの仕事であり、いくつものアイデアによって空間がベストな状況で使われていくと思います。

僕は家具のデザインもしているんですが、空間の中で問題やいびつなところがある場合、それを解決するのは家具だと思っています。家具や照明が空間にリズムを生み出すので、建築家として家具を扱うという必然的なスキルを身につけて、空間のコントロールに役立てています。

住空間を楽しみながら日本人らしく暮らす。

デンマークなど北欧では冬が長く、家で過ごすことが多いため家具の文化が花開いたと言われます。そして、その家具は親から子へと引き継がれていくそうです。日本では、住宅を作る際に昔の家具を捨てたり、予算がなくなって一時的に買ったものを使い続けたりしがちです。日本人は自分たちの暮らしに対して、よりよく生活するとか、楽しみながら快適に過ごすことを深く考えてこなかったように思います。その理由は、賃貸物件に住む人が多くて壁面にクギが打てないなど住まいに自由度が少なく、家の中でクリエイションをする機会が幼い時からなかったからかもしれません。

だからこそ今をスタート地点として、少しずつ培って積重ねていってほしいですし、家具を買うときに子や孫が使うかもしれないという視点を持ってほしいです。現在、日本人は日本の住環境に西洋のモダンリビングの感性をアジャストさせている時期だと感じています。こちらのリビングにもソファーを置いていますが、あえて座面の広いものを選びました。日本には床に座る文化があるので、ソファーの座面が広いとその上であぐらをかいたり、横になったりできるからです。逆に座面が狭いと、床に座ってソファーを背もたれとして使ってしまうんです。日本人らしい現代の暮らしの形ができるよう設計をして、空間の楽しみ方や家具を提案できればと思っています。

TOKYOを気持ちよく住む。

豊かな家というのは、人を招ける家だと考えます。

東京はインフラも整い、便利で安全。経済の中心でもあるのに東京の住まいは狭く、暮らし方も豊かとは言えません。でも、狭くても広く感じられる空間作りや、人を招きたくなる快適な住まいを実現する工夫はできます。建築家として、住む人にはいつも「気持ちよく住んでほしい」と思っています。

朝起きてこの部屋に来ると清々しい、日々発見がある、美しさを見出せる。そういう普遍性のある住まいをこれからも作りたいですし、それが住まいの役割だと信じています。

芦沢啓治氏設計「イクシクス麻布十番」について、詳しくはこちら
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